異世界のアフレクションネクロマンサー641
「何か、心のつっかえが取れましたか?」
「……はい」
「良かった。それと見させて下さって、ありがとうございました」
「あっ…あの……」
「何か……?って、私の方から来たんですよね。答えられる事でしたら、いくらでも」
アフレクションネクロマンサー様の望みも、このネックレスを見る事であり、お互いにとって利益があったという事で、礼をするような事は一切無いのだが、
「今回の総統からの命令は…急だったのです……」
「急?これは元から、組まれていた事では無いと?」
アフレクションネクロマンサー様にとって特になるか分からないが、自分達の置かれている状況を教える。
「総指揮官からは、リザードマンがこちらへと侵攻している事が伝えられて、ニードゥス様の配下が近くにいるから、機銃車の実戦を行えと命令が出たそうです」
「……」
「言える事はこれだけですが……」
「ありがとうございます……その話は、私達にとって、良い切っ掛けになる糸口になると思います。それでは」
自分達も急遽、総統から命令されてここに来たという、他愛の無い話。
しかし、それを聞いたアフレクションネクロマンサー様は微笑んでくれて……その屈託の無い、優しい笑顔に……
「あっ…あの…最後に一つ……」
「はい」
「……早くここから、離れた方が良いです。私もあなたも、二人で話している所を見られたら処罰されかねません」
「分かりました……本当にありがとうございます」
その笑顔に、赦されたいと思ってしまった……多くのリザードマン達を、処刑して来た事を。
(でも…それは卑怯だ……)
死んだ者達の無念を晴らす事が出来るアフレクションネクロマンサー様……あの方に祈れば、もしかしたら赦されるかもと思ったが、
(君の願いを叶えたら…君達の所へと逝くよ……)
このネックレスはきっと、本当に赦しを請うべき人達へと導いてくれるはず。




