異世界のアフレクションネクロマンサー640
「あまり聞かない方が良かったですか?」
「いえ…そんな事は……」
このネックレスは自分の物では無い、このネックレスは……
「いきなり、すみませんでした。私はこれで……」
「待って下さい、アフレクションネクロマンサー様!!」
「はいっ!?」
指揮官は扉を開けて、アフレクションネクロマンサーが立ち去るのを止めてしまう。
「あっ…その……」
総指揮官から、あまりアフレクションネクロマンサー達と関わらないようにと、お達しを出されていたが、
「……見て貰えますか、預かり物でして」
あの、檻の中に閉じ込めて殺したリザードマンから、最期に託されたネックレスを渡してしまった。
大事な預かり物、誰にも見せず、誰にも教えずに隠し持っていたのに……
「…………」
「……どうですか」
ネックレスを渡してしまったのは、託された願いから逃げたかったから?いっその事アフレクションネクロマンサーが欲しいと言ったら、渡してしまって責務から逃れたかったから?
「……これは凄いですよ」
「そうですか……」
「えぇ…こんなに凄いモノは見た事がありません」
アフレクションネクロマンサーから返された物を、急いで首にかけ直して隠して、
「これは本物だという事なのですね……」
アフレクションネクロマンサー様からの、お墨付きを貰えた事に心が澄む。
心の中にあったわだかまり……リザードマンは最期まで、このネックレスに導きがあると信じて逝った。
それがとても辛くて……もしこれが本物で無ければ、あのリザードマンは救われないと想っていて……
「アフレクションネクロマンサー様には、これが何のか分かるのですか?」
心が救われて心が軽くなると、このネックレスが何なのか知りたくなって聞いてみるが、
「ごめんなさい……そこまでは分からなくて……何か知っている事は?」
「それは……もしも、これが本物だったら願いは叶うでしょうか?」
「きっと導いてくれますよ」
どうやらアフレクションネクロマンサー様でも、このネックレスの正体は分からないらしいが「導いてくれる」という言葉が、あのリザードマンの「運命」と重なる。




