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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
黒い海
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黒い海37

解決法が見つかった。


やっと窮地を脱することが出来る。


この悪夢のような所から逃れられる算段が出来たというのに、子供を見る礼人のその目は何か哀れむような、躊躇ためらいのようなものが見える。


(お兄ちゃん……?)


子供も何か、礼人の言いたい事があるのに言い出せないような……異変を感じたのか不安そうに礼人に声を掛けると、


「……君は現世に帰るためなら…頑張れるかい?」


(……ぇう)


自分の覚悟を聞かれてしまう。


礼人の突然の質問に驚いて答えられない子供に、礼人は口を一度閉めてから喉で言葉を作り、


「君の足を切る」


喉で作った言葉を包み隠すことなく吐き出す。


礼人の自分の事を傷付けるという言葉、何を言っているのか意味を理解出来る訳も無く目を丸くして困惑する子供に礼人は、


「分かって欲しいんだ…君の足に絡み付ているものを切ると、幽霊の液体が中に溢れてしまう……それを防ぐ手立ては今の僕には無い……だけど、君の足を切れば絡み付いているものごと外に出すことが出来るんだ」


事情を説明する。


黒い血管を切るにはあまりにもリスクが高いが、子供の足を切るのは造作も無い。


それこそスポンジケーキにナイフを差し込んで切るように造作も無く切ることが出来る。


子供さえ覚悟を決めてさえしてくれれば……


(本当に…それで助かるの……?)


子供の不安そうな…怯える声に礼人の中の罪悪感が心臓を締め付ける。


「…………」


子供からの問い掛けに、礼人は応えることが出来ない。


不安に押し潰されそうになっている子供に一言「大丈夫だよ。信じて」そう言えれば良いのに、


「ごめんね……」


礼人の喉は慰める嘘の言葉を作ることは出来ず、自分が懸念していることも喉は言葉にするのを拒否し、代わりに口から出たのは罪悪感からの謝る言葉であった。


解決法を思い付いたと言っても、礼人が今からしようとしている事にもデメリットがある…そのデメリットは子供を傷付けるという、それだけの話ではない……


肘先から膝先まで失うほどに黒い海に溶かされてボロボロになった体に、光の剣を刺し込むというのは、砂で出来た小さなお城に土木工事で使う大きなスコップを刺し込もうとしているのと同じ行為。

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