異世界のアフレクションネクロマンサー626
「不気味ですね……」
「そうだな……安全を確認するというのは、いつも緊張する」
「ビレーさん達でも?」
「当たり前さ。実際に、この拠点を放棄して逃げたとしても、罠を仕掛けていたりする……みんなが入って来れるようにする為にも、安全を確認しなければならない」
「アフレクションネクロマンサー様は、我々の後ろに」
「ここは、元々は我々の拠点ですから、拠点を見るというのは、お任せ下さい」
「お願いします」
全員で辺りを警戒し、見た目では特に問題無いのを確認してから足を進める。
(そうだな……もしも、爆弾とか置かれていたら死ぬ……だから、ビレーさんも前に出てくれていたのか)
礼人は、この時になって自分が幸運だった事を知る。
もし、曲道を進んでいる時に、岩の影に爆弾を隠され、そこにファイヤーボールを撃ち込まれて、点火させられていたら、対応出来ない。
例えばそれが、物に気を宿らせるような高名な人物が作った物だというのなら、話は別だが、ただ火薬を詰めた爆弾では、命を込めて作るような工芸品とは違い、気が宿る等ほとんどあり得ない。
気の宿っていない単なる物では、礼人の霊力でもマナでも感じ取れ無い。
もう少し話をするのなら、弓兵が礼人を狙ったとする。
そうすると、礼人は弓兵の殺意や悪意を感じ取って位置を把握出来るが、飛んでくる矢自体には、持ち前の身体能力で対応するしか出来ない。
もしも、あの曲道で礼人を殺そうとするのなら、爆弾を設置して遠くからファイヤーボールを撃ち込む事で間接的に殺す。
もしくは、ボウガンでワイヤートラップを仕掛ければ、礼人は全く反応出来ない。
そういうトラップが曲道に、仕掛けられていなかったのは幸運であり、そういうトラップに気付くだけの勘を持っているビレーがいる事で、
(本当にありがとうございます……ビレーさん)
いざとなれば、肉壁となって礼人を守ろうとしていたのだ。




