異世界のアフレクションネクロマンサー625
フレンが言いたい事は分かる。
見た目的に大丈夫で、戦争で培った勘が、拠点は放棄されていると判断しているのかもしれないが、あの拠点の中に鉄騎兵のような、ナニかが突然現れたら困るという事だ。
「私の感じる限りでは、異変を感じれらなかったのですが……」
「いえ、その慎重さはとても良い事です。私だって、あれだけ強い怨念を持っていた、出来損ないの人魚を、接敵されるまで気付けなったのですから」
霊力とマナを混ぜ合わせる事が出来るようになったリーフなら、その辺にいる鉄騎兵を感じ取る事も出来るだろうが、あの出来損ないの人魚の場合は話が変わる。
あれは突然現れた。
あんなのが移動していたり、どこかで準備していたら絶対に気付く。
そこから考えるにあれは、現地で用意したと考えるのが妥当。
出来損ないの化け物を遠くから召喚する方法があるのか、赤いモノを集めて創造したのかは分からないが
、リミィ達には、その場で化け物を用意する術がある。
突然現れる以上、それに気付くのには、霊力があるとか無いとかは関係無い。
「最初の予定では、前線で暴れているうちに、隠し通路から拠点に入り込む予定だったが……」
「そうですね。それなら、正面から入り込んでも良いかもしれませんね……ただ、お願いがありまして、あまり人数を用意しないで下さい。人が多過ぎると気が散るのと、何かあった時に助けられなくなる可能性が高まりますので」
「分かった。ビレーと、少数精鋭を付ける」
「お願いします」
「君には苦労を掛ける……アフレクションネクロマンサー様を無事に届ける護衛部隊、突入部隊を編成する」
少し予定が変わったってしまったが、それでも、拠点の中に入り込む事には変わりはない。
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「何か感じるか?」
「今の所は何も……ビレーさんの方は?」
「うむ…もぬけの殻だな」
礼人とビレー、そして、幾度の戦場を生き残った精鋭の兵士達で、拠点の中を観察する。
護衛の兵士達に守られながら、拠点に近付く際も、油断をせずにいたが、フレン達の推測通り、城壁から敵の攻撃が行われる事無く、鍵が掛けられていなかった門を押して、拠点の中に入り込めた。




