異世界のアフレクションネクロマンサー622
籠の中に入ると一人っきりになる。
とても贅沢な空間だ。
みんなはきっと、外に立てられるテントで一斉に休む事になる……籠を与えられるというのは、それだけ特別扱いという事。
椅子に腰掛けて、手の平から霊力を具現化してみると、
「こうなるか……」
いつもの、雪国の雪のように、白銀に輝いていた霊力が赤く鈍る。
あの赤い布は想像通り、ここに充満している赤いモノを使役して創り出したモノ。
「俺は……」
麗騎兵の中で視た、あの霊体の力……原理はすぐに理解した。
多くの怨念が染み付いた大地から創造した力、己の力が高ければ高い程に、使役する事が出来る極限の技……しかし、それをするには……
「俺は…俺は……いや、考えるな……」
椅子の所に用意されていた毛布を手にして、体に巻き付けると目をつぶって、床に寝っ転がって息を吐いた。
(そうだ…考えるな……)
自分の中に流れる赤いモノ……それを受け入れる事が出来るようになっている体……
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「さま……アフレ…ロマンサー……」
「うっ……リー…フ……」
「大丈夫ですか?体のお加減は?」
頭の中で、悩みがネットリしていたが、それでも眠っていたらしい。
「いえ…大丈夫です……」
リーフに起こされて、体を起こすと……
「リーフ…さん?なんで、ここにいるんですか?」
目の前にリーフががいる事に、気付いて目を丸くして驚くが、
「もう一日が経っているんです。アフレクションネクロマンサー様は、一度も目を覚まさずに眠られていたのですが、どこか苦しそうだったので……」
どうやら、心配をされてしまっていたらしい。
「ありがとうございます……一日寝てた?一日中……?待って下さい!!それって!?」
「安心して下さい。もう作戦地点まで着いています」
礼人にとっては、悩みで少ししか眠っていないように思っていたが、実際は一日中眠ってしまい、その間は、リーフ達が進行していた事になる。




