異世界のアフレクションネクロマンサー621
「分かっているとは思うが、アフレクションネクロマンサー様は、あくまでも拠点に侵入するという、最も危険な任務を追っている。それなのに、アフレクションネクロマンサー様がこうして来て下さっているのは、我々を死なせたくなという温情からである」
鎧を着ていたオークだけでなく、中継地点で野営の準備をしていた者達の手が止まり、自分に視線が一点集中しているのを確認してから、
「今度は、我々がアフレクションネクロマンサー様をお守りしようではないか、アフレクションネクロマンサー様の任務が成功するように」
「「「おぉっ!!」」」
拳を大きく突き上げると、全員が呼応して拳を大きく突き上げて、緩んでいた意識に火が入り、さっきまでの、和気あいあいとした雰囲気から、士気の高い兵士達の姿に移り変わる。
「ビレーさん」
「どうだ、我々も凄いもんだろ?なんせ、アフレクションネクロマンサー様がいない時でも、必死に生き延び、それに、いざとなればあの空を飛ぶ化け物にだって勇敢に戦うんだぞ」
「ははっ…そうでした…そうでしたよね……」
いつも自分が守らねばと思っていたが、彼等は彼等で生き延びて来たのだ。
一から百まで面倒を見なくたって、
「さっ、籠の中で休みなさい。それだけの活躍したのだ」
「はい…一応、自分でも気は張っていますが、何かあったら呼んで下さいね」
「もちろんだとも、何かあったら頼りにさせて貰おう」
ビレーに背中を軽く押されて、籠に向かうと、
「アフレクションネクロマンサー様、ごゆっくりとお休み下さい」
「我々が、アフレクションネクロマンサー様をお守り致します」
籠の護衛といわんばかりに立っていた、二人のエルフが籠の中へと、案内してくれるのであった。




