異世界のアフレクションネクロマンサー619
鎧を着ている相手だとしても、こっちの世界の者達は中身を殺せる。
エルフなら雷撃を喰らわせ、リザードマンなら炎で焼き、オークなら殴り潰す。
エルフとリザードマンの攻撃を防ぐ手立ては無いが、オークの拳は、鎧を厚くすれば防げもするが、それは戦うの適した鎧では無く、ただの鉄の塊。
それと麗騎兵と鉄騎兵だが、あれは甲虫のように、外骨格の為に存在する。
この世界の鎧というのは、無用な長物でしかない……が、それでも、このような鉄の塊の鎧が存在するというのは……
「これより、順番で鎧を着る!!」
「おぅ!!」
「待って下さいビレーさん!!これって!!」
「アフレクションネクロマンサー様、こっちへ」
自分が思っている事を口にしようとすると、ビレーに腕を掴まれて、みんなから少し距離を置いた所に連れて行かれる。
「あまり、変な態度を取るでない…皆が心配になる」
「だって…みんなが囮になるという事でしょ?」
「違う、囮になるんじゃない。身を挺して護衛するだけだ」
「私がいるんですから!!」
「この後夜通し起きて、その後、拠点に突入する気なのか?」
「だったら、あの鉄の塊で、凶暴化したリザードマンから身を守れるんですか!?」
「時間を稼ぐ、助けを求められたら、目を覚ますんだ……そうすれば死ななくて済む」
いくら分厚い鉄の塊を来たとはいえ、絶対に安心という訳にはいかない。
凶暴化したリザードマンは、胸が焼ける事で炎を吐き出す事が出来なくなるので、中身を焼かれる心配は無いのだが、いかんせん、鎧が重すぎる。
強大な筋肉を持つオークといえど、鎧を着ては、リザードマンの動きに付いていけずに、簡単に組み付かれて、鉄のサンドバッグと化す。
一方的に殴られる……だけなら、厚い鎧が身を守ってくれるのだが、そんな分厚い鎧を着ている時に、やられたくないのがデスロール。
腕、足に抱き着かれて一回転でもされたら、間接は一撃で壊される。
この世界の鎧はあくまでも、分厚い事だけに価値があるので、関節に鉄を張り付けているだけで、関節部分の強度というのは存在しない。




