異世界のアフレクションネクロマンサー617
薬品付けにされて凶暴化した相手に、戦い方を選んでいる場合ではないのだが、それでも……品位を疑われるような戦い方をした。
その汚い戦いをしたせいで、二人に微妙な空気が流れはしたものの、その汚い戦い方をしたお陰で、鎧が届く前に、目的地に辿り着く事が出来た。
礼人達が目指した場所は中継地点。
決して、軍隊が駐留出来る程の広さではないが、物資を運ぶ補給部隊が休憩出来る位には道が広がって、広場になっている。
「今日の進行はここまで!!交代しながら周囲の警戒を行い。後から来た者達と引継ぎを行い、そのまま陣に戻ってくれ」
「「「はっ!!」」」
ビレーからの指示が出ると、エルフとオークが話し合って警戒と休憩の相談をする。
ここまで、礼人とビレーが前に出て安全を確保していたのだから、疲れる事があるのかと思うかもしれないが、横の警戒をしていたのはエルフとオークの彼等。
礼人の力で周囲の敵の動きが分かるとはいえ、それは今現在の話。
もしかしたら、礼人の力でも把握出来ない、目で見なければ分からない敵だっているかもしれない。
彼等は彼等で、凶暴化したリザードンマン、鉄騎兵だけでなく、不測の事態に備えて身構えていてくれた。
アフレクションネクロマンサー様がいると思わずに、一切の気を抜かずに警戒を続けてくれていた。
精神を削る尖兵を無事にこなした彼等が、和気あいあいとするのを責める事はない。
ビレーと礼人も、みんなで気を張りつつも休憩をしていると、再び籠がやって来たが、今度は荷物を載せた複数の台車もやって来る。
台車にはテントと食料、ここで野営をする為の道具が載せられていたが、
「あれは……鎧?」
「そうだ、あれが鎧だ」
一つの台車に、鎧が複数載せられているのだが、正直に言うと、その見た目は鉄の塊であった。




