異世界のアフレクションネクロマンサー614
エルフの吐露した想いを聞き、自分がバラバラにしたリザードマンの死骸を見つめて、
(神よ…彼等の魂を救い給え……)
苦しい想いをしたリザードマン達の魂が、これ以上苦しまないで欲しいと祈る……ここが怨念によって赤く染まった世界だと知りつつ、自分で手を下しておきながら……それでも祈る。
「リザードマン達も辛いのですね……」
「いつも、最初に泣くのは弱い者です……それでも、我々にはアフレクションネクロマンサー様がいますから、希望も抱けますが……」
「……このリザードマンは、リミィが送って来たと考えて良いのでしょうか?」
薬漬けにされて筋肉が膨れ上がり、胸の苦しみで、目の焦点すら合わない程に乱れていたリザードマンの姿。
それは、あまりにも非人道的で……鉄騎兵を作ったのが、兵力の少ない状況を何とかしようという苦肉の策だから、目をつぶる事も出来たが、このような生物兵器を創り出しているというのなら、到底許されるべきではない。
「いえ…それは無いと思います。そんな事をしたら、内部分裂を起こしてしまうでしょう……アフレクションネクロマンサー様が、鉄騎兵を蹴散らしたという情報をリザードマン達も掴んで、兵士達を送り込んでいると考えるのが妥当かと」
「そうですか……」
リミィではなく、リザードマン達がやっている事……それを聞いて少し安心したが、それでも、非人道的な行為をしている者達がいる事には変わりない。
「だとしたら、この先は」
「鉄騎兵と、凶暴化したリザードマンが襲って来ると思われます」
厄介では無いが、気を張らないといけない。
「とにかく、救助を待った方が良いですよね。私が周囲を警戒します」
「ありがとうございます。アフレクションネクロマンサー様」
怪我人が出ては前に出る事は出来無いので、自分の為に呼ばれた籠が来るのを待った。
『ガラガラガラガラガラガラガラガラ!!!!!!!!』
「アフレクションネクロマンサーーーーー様ぁぁぁぁ!!!!」
怪我をした者の応急処置をし、周囲を警戒しながら待っていると、遠くからでもハッキリと聞こえる、籠の車輪が回る音と、大きな声でアフレクションネクロマンサーを呼ぶ声が聞こえる。




