異世界のアフレクションネクロマンサー609
鉄騎兵は怨念で動いている以上、複数の人の思念を感じるのだが、こちらに迫って来ているのは全然違う、命が必死に迫って来ている。
(なんだ、この強い生命力は……?)
迫って来る強い生命力を何かに例えるのなら、
(霊能者……?)
迫って来る存在の圧迫感は、霊能者のような力強さを感じる。
(でも、リミィが探し当てた霊能者は自分のはず……だとしたらアフレクションネクロマンサーか?)
アフレクションネクロマンサーはあくまでも、最初の者が霊に関する力を持っていただけで、必ずしも霊能者でなければならないという理屈ではない。
それこそ、何かしら力が突出さえしていれば、アフレクションネクロマンサーと名乗れる。
「何を召喚しようとも!!」
例え相手がアフレクションネクロマンサーだとしても、怯む理由は無い……こちらだってアフレクションネクロマンサーなのだから。
ケルベロスだろうが、鵺だろうがなんだって相手をしてやる。
『『『ドガドガドガドガドガドガ!!!!!!!!』』』
大地を駆ける音に体を身構えさせて、立ち向かう姿勢を見せるが、
「この音は!?」
「オークは前に出ろ!!」
身構えた礼人を守ろうと、オークが前に出る。
「ダメです!!後ろに下がって!!これから来るのは、まともじゃない!!」
まだ見た事も、会った事も無い相手だが、それでも普通の者に対処出来る者じゃないのは分かる。
自分の前に出たオーク達を、後ろに引き下がらせようと命令を出し、自分が前に出ようとするが、
「お任せ下さい!!我々は、この化け物と戦っています!!」
オークの戦った事があるという言葉で、前に出るのを止める。
未知なる存在に対抗する為に、自分が前に出ないといけないと思ったが、オーク達が戦った事があるというのなら、任せた方が良いのかと思って動きが止まってしまう。
「やるぞみんな!!」
「おう!!見てて下さいアフレクションネクロマンサー様!!我々の雄姿を!!」
迫る未知の存在に怯む事無く、立ち向かう姿を見せるオーク達は勇ましい。
「…………」
礼人は心配をしつつも、オーク達に任せて後ろで何が来るのかと見定めると、
『『『ドガドガドガドガドガドガ!!!!!!!!』』』
「来るぞ!!」
『『『キィシャァァァァァァァァ!!!!!!』』』
曲り道から飛び出して来たのは、リザードマンであった。




