異世界のアフレクションネクロマンサー607
アフレクションネクロマンサー様は、多くの者達の為に命を捧げて名を遺す。
命を捧げて、神格化されて……最近では風化してしまった所もあるが……それは、別の話として、アフレクションネクロマンサー様の最期は戦場で死ぬ。
例外は無い…そうなれば、リーフの運命も……
「あっ……」
そこで気付いたのは、礼人の覚悟。
礼人が最初に言ったのは「捨て石」命を粗末にするような言い方であったが、その腹づもりは違う。
「私の身に何かあっても、リーフさんが引き継げば問題はありません。多少の混乱はあるにしても、すぐに落ち着くことになるでしょう」
礼人は覚悟を決めている、リーフがアフレクションネクロマンサーとしての運命を辿らないように、全ての運命を背負う覚悟を。
「……分かりました。アフレクションネクロマンサー様には、尖兵をお願い致します……ただ、無理だけはなさらないで下さい」
「えぇ、無理はしません。出来る事をするだけですから」
アフレクションネクロマンサー様が、前に出るというのを引き留める事は出来ない。
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「ふぅ…みなさん、疲れは?」
「我々は大丈夫ですが……」
「それよりも、アフレクションネクロマンサー様のお体の方が……我々が課せられている調査範囲はすでに越えています。少し休憩を取られた方が」
「いえ、体を動かしている方が気楽なんです」
「分かりました……そうしましたら、次の所まで調査したら休憩を取りましょう。丁度昼時になります」
尖兵として、かなりの距離を進んで来た。
森の中にはやはり鉄騎兵が待ち伏せをしていたのだが、霊を感じ取れる礼人には、怨霊である鉄騎兵を感じ取る事は容易い事で、ここまでの道中は全て返り討ちにしている。
「分かりました……それにしても鉄騎兵ばかりで、オークやエルフの人達は襲って来ないのですね」
「はい、リミィ様……いえ、あの女が反乱した時、付いて行った者達がいるのは事実ですが、それでも戦争を仕掛けられるほどの人数ではありませんでした。当初はすぐに鎮圧出来るかと思われていましたが、アフレクションネクロマンサー様の麗騎兵を、盗んだ事によって戦力は維持されています」
「人材が少ないのですね」
「そうです。鉄騎兵は人材の少なさをカバーするのに打って付けで、我々は、苦痛を知らない鉄騎兵によって、辛酸を舐めて来ました。しかし、こうしてアフレクションネクロマンサー様がいて下さる事で、戦況は変わったといって差し支えないと思われます」
礼人達は雑談をしながら、次のポイントへと向かう。




