異世界のアフレクションネクロマンサー606
「こんな事を私から言うのも何ですが、今までの……私を含めてのアフレクションネクロマンサー達は、この世界のアフレクションネクロマンサーの捨て石だったのだと思っています」
「それは少し大げさでは……」
捨て石……その言葉が意味するのは生贄、犠牲、そして死。
その言葉を要約すれば、アフレクションネクロマンサー様である礼人は死ぬ事を受け入れている。
確かにここは戦場で、誰でも死ぬ可能性はあるが、だからといって死を受け入れるというのは穏やかな話では無い。
「そうですよね……捨て石というのは先人達に対して敬意が欠けていますよね……みんな、この世界を救う救世主が現れるまで繋ぎ止めていたのです」
「……この世界を救う救世主ですか」
言いたかった事は、無礼な言い回しを訂正しろという事では無く、死を受け入れている気持ちが問題視しているのだが、覚悟を決めている者の気持ちを変えるのは並大抵ではない。
押し問答を避けるではないが、救世主こと、この世界のアフレクションネクロマンサー様を知るというのは意味がある事で、
「それで、この世界のアフレクションネクロマンサー様というのは?」
もう一人のアフレクションネクロマンサー様が誰なのかと、聞いてみると、
「彼女です」
「彼女…彼女って……」
「リ…フ……?」
それはフレンの一人娘であるリーフ。
二人は悪い冗談だと、言葉がどもる。
アルフアは、時折の街との交流で挨拶をした事がある程度であったが、それでも、リーフは背の高い少女としか思っておらず、
「それは…ありえない……だって娘は……普通のエルフの子供です……」
フレンにとっては、可愛い一人娘。
娘がアフレクションネクロマンサー様だと言われているのが不服なのではない、英雄であるアフレクションネクロマンサー様だと言われるのは、褒め言葉であるのだが、
「リーフさん…あなたの翼を」
「はい」
「そ…んな……」
自分の命を賭して戦うアフレクションネクロマンサー様が、自分の娘だと知って、大手を振って喜ぶ訳にはいかない。




