異世界のアフレクションネクロマンサー604
「それに私なら、鉄騎兵の位置を感じられるので、待ち伏せも奇襲も意味を成しません」
それは礼人の能力を知らないからというのと、アフレクションネクロマンサー様である礼人に危険な目を合わせたくないという考えから来てるのだろうが、それでも……
「アフレクションネクロマンサー様、少しお伺いした事が」
「何でしょうか?」
「拠点から逃げ出した際、アフレクションネクロマンサー様は担がれていたという事です」
それでも自分は平気だと言おうとしたが、弱い所を突かれた。
その事を知っているのは、あの時いたリーフとオーク達と、
「すまん…懸念材料になる事は全て知りたいと……些細な事も全て話せと言われてな……」
肩を落としたビレー。
「気にしないで下さい。私だって話をしている時に、そこは伏せたのですから」
英雄としてのアフレクションネクロマンサー像を投影しやすいように、あの時の事を黙っていてくれていたのは分かっている。
「そうです。足腰が立たない程の体力の限界が来て、オークの方々におぶって貰いました」
「……アフレクションネクロマンサー様が鉄騎兵を薙ぎ倒しているのを見て、兵士達は士気が高まっていて、それは私も一緒です。アフレクションネクロマンサー様が導かれて、加護されていると思っている時に、アフレクションネクロマンサー様が亡くなったら一大事なのです」
「そんな事になったら士気の低下所か、混乱に陥るでしょうね」
「えぇ…だからこそアフレクションネクロマンサー様にお伺いしたいのです。アフレクションネクロマンサー様は、オークやリザードマンに組みつかれた場合、鉄騎兵の様に薙ぎ倒す事が出来るのですか?」
その質問は、あまり聞かれたくなかった。
礼人の体は、霊力とマナを使えるお陰で、並大抵の人間なら赤ちゃんをあやすように対処出来るが、
「基本的には薙ぎ倒す事が出来ますが、タイミングが悪ければ死ぬ可能性はあります」
身体的に優れているオークやリザードマンに組みつかれて、一瞬で首の骨を折られたり、心臓を貫かれたら、さすがの礼人でも死ぬ。




