異世界のアフレクションネクロマンサー596
「信じ難い話だが、それが現実……それを踏まえて話を聞いて欲しい」
「……分かった、気を引き締める」
アルフアも、周りの者達も、夢心地の気持ちでフワフワしていた気持ちを地に付ける。
夢物語の中の、アフレクションネクロマンサー様が活躍する話の中で犠牲になった者達の話。
アフレクションネクロマンサー様がいてもなお、出来たのは勝利をしたのではなく、全滅するという最悪の状況から辛うじて敗走に持ち込んだこと。
英雄が活躍するというのは、誰かの犠牲がある事によって美談として輝くこと。
自分の街でアフレクションネクロマンサー様が受け入れられたのは、生き残った者達が、犠牲者になった家族を慰労し、アフレクションネクロマンサー様がいなければ自分達も死んでいたと説明したから。
アフレクションネクロマンサー様がいるから、必ずしも勝てるという考えは逆に捨てて欲しいと。
「あぁ…あぁ……そうだな……そうだったな……歴代のアフレクションネクロマンサー様は最期は…………いえ、失礼を」
「気にしないで下さい。今までのアフレクションネクロマンサーが、どうなったのかは知っているつもりです」
アルフアはフレンの言葉を頷きながら受け入れる中で言った、歴代のアフレクションネクロマンサー様の最期。
暴虐に立ち向かい、弱き者の剣となりて鎧となりて戦ったアフレクションネクロマンサー達。
アフレクションネクロマンサー達は、その時代に一石を投じて運命を変えて来たが、その最期は死を迎える。
戦い抜いて、魔王を倒して、幸せな家庭を築いてひっそりと亡くなる……なんて、そんな甘い話は無い。
栄華が、戦場で力尽きて死んだように、アフレクションネクロマンサー達は、戦場で死んで逝った。
物資も無くなり、連日の戦いで疲弊し、多くの仲間が死んで逝き……それでも前のめりに、誰よりも命を輝かせて、誰よりも自分の身を犠牲にして死ぬ。
アフレクションネクロマンサー達の物語が輝いているのは、献身的な死を迎える事によって、語り継ぐ者達が、手向けとしてアフレクションネクロマンサー達の功績を称えるから。




