異世界のアフレクションネクロマンサー595
「これで、この人がアフレクションネクロマンサー様だと分かった所で、話を始めよう」
本題を始める前の自己紹介。
これから話す事を信じて貰う為にも、形式的な信頼関係でなく、心から信頼して貰う事が必要であった。
礼人は、フレンに促されて(うなが)されて、これまでの話をする。
敵の拠点の中で見た黒い液体、鉄騎兵の正体、空を飛ぶ化け物。
礼人が、何が起きているのかを説明をするのだが、その隙間隙間でビレーが話を補足する。
本他落ち別れて絶望的な状況で、生き延びる為に拠点に忍び込んだらアフレクションネクロマンサー様と出会ったこと、敗走して全滅し掛けていた多くの仲間を助けてくれた事。
礼人は出来るだけ謙虚に説明するが、ビレーはまるで夢物語の冒険のような話し方をして、礼人を誉め称えるものだから、大人であるエルフやオークですら目を輝かせて話に陶酔し、
「す…凄いお話ですね……」
アルフアは、戸惑いながらも話を受け入れる。
先程の疑心暗鬼の空気で満ちていた天幕の中なら、誰もが信じるかどうかで、話をまともに聞いていなかっただろうが、礼人をアフレクションネクロマンサー様と信じた今なら、このような夢物語でも信じて話を聞く事が出来る。
粗方の説明を、ビレーの補足付きで終わらせた所で、フレンが前に出て、
「信じようにも、おかしな話だろ?まるで、本の中の物語だ」
「いや…そんなことは無いさ、信じるよ」
戸惑いを見せるアルフアに、茶化すように声を掛けると、アルフアは苦笑いをしながら、精一杯の返しをする。
信じ難い話、けれど信じないといけない話。
アルフアは、目の前にアフレクションネクロマンサー様がいるという現実で何とか、受け入れている。
「そうか。それなら、これからする話は、受け入れやすいぞ」
「まだあるのか?」
フレンの脅すような言葉に、アルフアは苦笑いは引きつってしまうが、
「あぁ…今は話した物語のような話が、我々の身に現実として襲い掛かって来る……分かるなアルフア?現実で、これから起きるんだ」
フレンの押し込む言葉に、アルフアの表情が引き締まる。




