異世界のアフレクションネクロマンサー593
今まで、多くのアフレクションネクロマンサー様を騙る者達がいたが、その最期は悲惨なもので、敗北と敗走を重ねる事で次第に周りからの信頼を失い。
本当にアフレクションネクロマンサー様なら証明してみせろと、鎮圧部隊の前に一人で立たされたり、偽物のアフレクションネクロマンサーだとバレて、首を落とされて降伏の道具に使われたりと、まともな死に方は出来ない。
それはあくまでも、偽物のアフレクションネクロマンサーが最期に受ける処遇の話だが、偽物のアフレクションネクロマンサーに嵌められてしまったので、助けてく下さいというのは通らないという事。
今回に当てはめれば、みんなの士気を高めるためにアフレクションネクロマンサー様の名前を騙ったと言って、どれだけの者達が納得してくれるだろうか?
命を掛けろと、我々は守護されていると言って、兵士達を次々と死なせて、最後の最後にあれは士気を高めるためでしたでは通らない。
下手をすれば、自分達を騙して捨て駒にしたと暴動が起きる。
「無事に帰れたら、いつもの倍以上の報酬を出す」とかの鼓舞とは訳が違う。
アフレクションネクロマンサー様の価値は、そんなに軽くない。
軍の士気を高める為に、アフレクションネクロマンサー様の名前を騙る位なら、いっそ言わない方が良いまである。
「……是非とも見て下さい。私の力が、皆様のお役に立てるかどうか、判断して頂けると助かります」
礼人は、彼からの疑いの目に嫌悪感を覚える事は無い、自分が逆の立場なら、同じようにその力を証明してみせろという。
礼人は一度息を整えると、いつもの霊力とマナを混ぜた力を使うのではなく、霊力だけで蝶の羽を形成する。
力を示すというのなら、霊力とマナを混ぜた力を使った方が良いのかもしれないが、
「こ…これは……何なんですか?」
実力がある人物で、マナを蓄えるエルフなら、この霊力という生命力を具現化する力を感じ取れる。




