異世界のアフレクションネクロマンサー592
アフレクションネクロマンサー様の特徴と言われる引き裂いた耳。
しかし、アフレクションネクロマンサー様の名前を騙る不届き者達が、真っ先にやる事されている耳裂きでもある。
こんな言い方はしたくないが、耳の中を傷付けて聞こえなくなるのではなく、我々エルフ達の耳が伸びている所を切り落とすだけ。
覚悟を決めれば出来る事であり、フレンが騙されていないとも限らない。
「アフレクションネクロマンサー様と、お会い出来る何て夢のようです……弱き者達に耳を傾け、悪しき者達には鉄槌を下したアフレクションネクロマンサー様……もし、出来ましたら何か…アフレクションネクロマンサー様とお会い出来たのが夢じゃないというのを見せて頂く事は出来ないでしょうか?」
指揮官として部下達の、みんなの命を預かっている以上、手放しで「アフレクションネクロマンサー様ですか!!」と喜ぶマネをする事は出来ない。
その名を名乗る以上は、その名に相応しい力を示して貰わないと困ってしまう。
(……まぁ、そうなりますよね)
もちろん礼人も、彼の意図は分かっている。
アフレクションネクロマンサー様の名前を騙る不届き者のせいで、多くの人が犠牲になっている。
圧政に苦しむ人にとっては英雄の名は希望の光。
希望の光は美しく、温かなものだが、英雄の名を悪用する者もいる。
不届き者が英雄の名前を騙っても、英雄が遺した希望の光は本物。
偽りの者が語った希望の光に誘われて、のこのこと引っ付いて反乱をした者達が、鎮圧の名の元に殺されるというのは昔からあった事。
今回の件で言えば、これから戦争するという時に、アフレクションネクロマンサー様の栄光の名は確かに軍全体の士気を高めるかもしれないが、それと同時に、士気の低下も孕んでいる。
「アフレクションネクロマンサー様が付いている、だから我々は勝てる」そんな気持ちで戦場に向かい、勝っている時ならば良いかもしれないが、これが万が一負け始めた時だ。
勝っている時は気前良く、アフレクションネクロマンサー様を信じ、アフレクションネクロマンサー様の為なら死ねるとなるかもしれないが、負け戦になった時に、アフレクションネクロマンサー様を信じていた者達が、どういう感情を抱くかということ。




