異世界のアフレクションネクロマンサー590
(そりゃ、こっちの世界にも国際結婚はあるけど……)
送り迎えをしてくれる女性の人達の顔をいくら見渡しても、ドワーフとオークの女性だけはいない……まさか、この局面においても見送りに来ないというの考えにくい。
このを街を散歩し、国に訪れた時から違和感を感じていたが、この出立の土壇場で確信する事になる。
この世界にはドワーフとオークの女性というのは存在しない。
(だとしたら……男性として生まれる時はドワーフかオーク、女性として生まれる時はエルフかサキュバスになるのか……)
その原理はどうなっているのか?
生命の神秘というには、あまりにも不自然な物を感じていたが、
(帰ってから調べよう……)
それを調べる事は出来なかった。
今日という日を迎えるために、フレンさん達は慌ただしくしていて、そんな時に、不安がらせるような事をしたり、心労を重ねさせるようなマネは出来なかった。
(いつかは知らないといけない事かもしれないけど、今回の戦争には関係無い……)
この不気味ともいえる現象に、作為的な何かを感じたとしても、少なくとも今回の戦場に何かしらの影響を与える事は無いはず。
「アフレクションネクロマンサー様?やはり気になる事が?」
後頭部を籠の壁に擦り付けて、悩み事を揉み消そうとしているのを見て、リーフが心配してくれる。
「こんなに沢山の人に見送って貰えること何て無かったので、ちょっと気が昂ってしまって」
もちろん、自分が考えている事を口にする事等出来ない。
礼人は、後頭部を籠の壁に擦り付けるのを止めて、この摩訶不思議な光景から早く離れたいと思うのであった。




