異世界のアフレクションネクロマンサー587
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そうして残された休日で心身共に充足を行い、再び戦場に赴く日になると、
「ではこちらを」
「ありがとう」
親方によって手直しされたアソリティの剣が、リーフに手渡せされる。
以前と変わる物は無いが、以前と変わらない手に馴染む剣。
「では、行ってきます」
手渡された剣を背に回し、集合場所へと向かおうとするのだが、
「お待ちを!!アフレクションネクロマンサー様」
「私ですか?」
呼び止められたのは礼人の方であった。
出立するまで時間が無いのだが、親方に呼び止められては、急いでいると言って立ち去る訳にはいかない。
「何かありましたか?」
霊力を蓄える剣を作るのは難しい話はしているし、何かをお願いした覚えも無いので、心辺りは一切無かったが、
「こちらを、お持ち下さい」
「これは?」
「アフレクションネクロマンサー様の、アソリティの剣でございます」
親方の方でコッソリと用意をしてくれていたらしい。
もちろん、礼人が持つように作られている為、リーフの様に大きな剣ではなく、礼人の体の大きさに合わせた剣。
「剣をお持ちになられていなかったので、差し出がましいとは思いましたが、ご用意させて頂きました」
親方が、剣を用意してくれたお陰で思い出したが、この世界に来る前には刀を持っていた。
けれど、思念の道を通った時に、いつの間にか落としてしまっていた。
「ありがとうございます。前に持っていた剣は落としてしまったので助かります」
「それは、良かったです」
自分の為に作られたアソリティの剣を腰に備える。
(……うん、ちょっと重いけどしっくりと来る)
今では、霊力とマナを組み合わせた力が強ぎて、刀を必要としていなかったが、こうやって腰に剣があると何だか落ち着く。
満足気にしている礼人に、親方も嬉しそうにニコニコとしながら、
「これは、誠心誠意入魂して作った剣です。これがあれば、リザードマンだろうが何だろうが、切り裂いてみせます」
自分が作った剣を鼻高々に誇る。




