異世界のアフレクションネクロマンサー580
その甲斐あって、今では知る人ぞ知るファンタジー作品という扱いになっている。
そんな知る人ぞ知る、ファンタジーとされて来た話を聞いたリーフの感想は、
「色々と聞きたい事はあるのですが……ドラゴンとリザードマンの違いを聞きたいのですが」
ドラゴンという種に付いてだった。
「ドラゴンとリザードマンの違い?でも、さっき……そうか…私の意識が、混ざり込んでしまったんですね」
意識が混濁した時に、自ら「ドラゴン」とは言っていたが、それは礼人と意識がシンクロした際に、得た情報だったのだろう。
「そうですね……リザードマンはドラゴンの派生種でして、知恵を持ったドラゴンが、人と同じような姿になったと言われています」
「それだけですか?」
「うん、ちょっと話が足りないよね。私とリーフは違う世界の違う人種、この世界のオークもサキュバスも、ドワーフも違う人種だけど、同じ見た目をしています」
礼人は、そう言いながら、自分の手を握って開き、床を足で踏む。
「これを収斂進化と言います」
「収斂進化?」
「いくつもの違う生き物が、生まれた土地や、生まれた環境が違うにも関わらずに、同じ姿になっていく……最も優れた形態になる事を言います」
「はい」
「これは生物学的な話ですが、後は命の欠片が混ざる事で、欠片の姿に寄っていくというのもあるのですが……今回は、それは省きましょう。ドラゴンが人の姿になったというよりは、この二本足で立ち、物を掴む手があるのが優れた形態だとして、進化したのがリザードマンになります」
「はい」
「大きな身体、大きな力は一見すれば優れていますが、その分、大きな体を維持するのが難しく、常に獲物を探して動き回り、時には縄張りが被って、同種と言えど争いになります」
「はい」
「体が小さければ、体を維持するのも簡単になり、縄張りが小さくなるメリットだけでなく、縄張りの中に複数の者がいても争いにならず、そこからコミュニティが生まれ……」
生き生きとして話をしていた礼人が、そこで言葉を止める。




