異世界のアフレクションネクロマンサー579
貴重な玉座とはいえ、その中に隠された鉄の箱があっては、取り出すしか無いというのが道理。
亀裂の入った脚は、後々修復する為、そこから解体して中の鉄の箱を取り出し、取り出された鉄の箱は、すぐに調査機関に送られて、中身が取り出されると、中には蝋で固められていた物が入っていた。
それは、中身が風化してしまわないようにする対策で、蝋を慎重に裂くと、中には布が顔を表し、それも剥がすと、一冊の本が出て来た。
それは、例の本の原書。
いくら探しても、姿を現さなかった原書。
ページをめくると、そこにはファンタジー小説として扱われて、現在でも細々と流通している本と、同じ内容が書かれていた。
随分と珍しい物が見つかったと、笑って話しながら、適当に読み進めていると、物語が終わった後に、まだページがあった。
その時までは、珍しい本が見つかった程度の話であったが、続きのページがうやむやになっていた戦闘機と、銃の歴史に終止符を打つ。
原書のページに書かれていたのは「この本を決して表の世界には出さない事、もし見付けたとしても、胸の内に秘める事」と書かれ、その続きには、城の地下に秘密の部屋があり、そこにドラゴンと戦う為に使った、戦闘機と銃、そして燃料となったドラゴンの秘石を遺すと綴られていた。
そんなのを見てしまっては、この本を歴史的な原書ですねと言って返す訳が無い。
城に調査団を派遣し、城をくまなく調査すると、地下へと続く階段が見つかり、階段を下って行くとそこには原書に記されていた通りの、ドラゴンの秘石で動く戦闘機と、ドラゴンの秘石を火薬にした弾丸が遺されていた。
これによって、戦闘機と銃の出処が分かり、それに伴い、本に書かれていた人間とドラゴンの戦争が真実だというのが証明される。
もちろん、現代において、表の世界ではドラゴンは作り話の存在。
この原書の存在を表舞台に出す事もしなければ、流通されていた本すらも発禁として扱い、出来るだけの回収が行われた。




