異世界のアフレクションネクロマンサー575
爆弾気球を飛ばせば、百発百中で当てる自信がある。
問題があるとしたら、どうやって超弩級ドラゴンの真下で、爆弾気球を膨らませるという事だが、その問題は、みんなが解決してくれる。
空の中を戦闘機が飛ぶ。
もう手立てが無いと、錯覚させる為の囮。
地上を飛べるパイロットがいない事実、その事実を利用した真実の囮。
空から爆撃が始まる。
超弩級ドラゴンを仕留める為というのなら、無意味な行為だが、超弩級ドラゴンを騙す為なら、これ程の効果的な方法はない。
空からの爆撃は、たった一人の人間と、たった一つの爆弾気球を隠すのに十分過ぎる行為。
超弩級ドラゴンは空からしか攻めることの出来ない戦闘機を嘲笑う。
残されたパイロット達では、何も出来ないと察すると、油断をせずに身を低くする。
これによって、戦闘機は完全に超弩級ドラゴンの下に潜り込めなくなったが、爆弾気球はより当てやすくなった。
身を低くした事で、胸下が見えにくくなり、爆弾気球の準備が簡単に進む。
首を上げて、ドラゴンの赤くテカテカとした洞穴を見上げる。
それは、みんなが作り上げた秘宝への道。
そこを相棒が入り込んで、秘宝を破壊したのだが、秘宝に残された魔力が、超弩級ドラゴンを突き動かす。
その残された魔力を消し去る為に、最期の勤めをする。
バーナーに火を点け、爆弾気球を膨らませる。
ズンズンと突き進む超弩級ドラゴンの下で、爆弾気球が大きく膨らんで、浮かび上がる。
ふわふわと浮かび上がって、超弩級ドラゴンの胸元に向かっていく。
全てが予定通りにいく。
老兵達が超弩級ドラゴンの胸の鱗を破壊し、部下が露出した胸に突撃して穴を空け、相棒が心臓を破壊する。
そして、戦闘機の仲間達が、超弩級ドラゴンの気を引いているうちに、爆弾気球を飛ばす。
全てが上手くいっている。
爆弾気球が、ふわふわと浮かんでいるうちに、この場から離れて逃げ出せば、生きて帰る事が出来るが、銃手はそこから動こうとしない。




