異世界のアフレクションネクロマンサー567
爆弾は、超弩級ドラゴンの胸にぶつかってはいたが、
胸深くまでは傷付ける事は出来なかった。
投石機の放物線を描く軌道でも、胸深く傷付ける事は出来るが、それは、発射してから頂点に達する間の話。
超弩級ドラゴンの胸が高い位置にある以上、胸深く狙うには、発射してからの頂点に達する迄の上昇部分、その後の落ちていく軌道では、胸深くは狙えない。
超弩級ドラゴンを引き付けて撃てば、良かったのかといえば、そういう話でも無い。
超弩級ドラゴンは、わざわざ近付かなくても、離れた所から獄炎を吐けばそれで良いのだ。
老兵達が狙えたのは、離れた所からの、頂点から落ちていく軌道の部分。
その落ちていく部分で、超弩級ドラゴンの胸に爆弾を当てていたのだから、脅威的な腕前だった。
だが、超弩級ドラゴンは生きている、死んだのは老兵達。
超弩級ドラゴンが前が前進する。
胸に傷を負っただけでは、止めれない。
心臓に深い傷を与えなければ、止められない。
超弩級ドラゴンは、滅ぼすべき国を真っ直ぐに見据えて進み出す。
地面を揺らし、地響きを鳴らしながら、誰にも邪魔をされずに突き進む。
一切の邪魔をされず、一切の抵抗されず……その時、超弩級ドラゴンの足が初めて鈍った。
どれだけの爆弾を胸にぶつけられても、突き進んだ超弩級ドラゴンの足が遅くなる。
今までは必死になって攻撃をして来ていた人間が、何もして来ない……そんなはずはない。
散々、ドラゴンを苦しめて来たのは、何も爆発する物だけでは無い。
空を飛ぶ、人間の羽。
ここまで来るまでに、一回も出会っていない。
歩みを鈍らせ、何かの嫌な予感で、地上から空に視線を動かすと、空を飛ぶ1つの影が向かってくる。
近付いてくる、たった1つの影。
いつも群がって来るのに、今日だけは1つで。
群がったらややこしい存在だが、1つでは大した事はない。
あまりにも訳の分からない存在。
初めて、歩み事が嫌だと思っていると、影は姿をくっきりとさせる。
十字のような形の物が、迫って来る。
地上に対する攻撃方法は、あの爆発する物を空から落とす。
背中は無傷。
今更、背中を狙われた程度では、どうにもならない……はず。




