異世界のアフレクションネクロマンサー564
老い先短い者達に混ざった若人。
枯れる木の命だけではと、これから満開の花を咲かせる若き命が萌える。
みんなが笑って宴をする。
自分達が死ぬ逝くとしても、その先を行く者達がいると喜んで、来たる日に心を踊らせる。
下準備は、他の者達が準備してくれる。
投石機を、爆弾を運んで配置し、騙し騙し使っていた戦闘機も完全に修復する。
全てが整う……死ぬ準備が。
しかし、それは決して死刑にされるとかではない、戦って死ぬ事が出来る。
宴が終わり、朝日が登ろうと、暗闇に青み掛かった時間に、全員が揃う。
出撃する前に、若人が大きな声を上げる。
自分達は幸せだと言う。
多くの者達は、ドラゴンに歯向かう事が出来ずに死んでいった。
一方的に蹂躙されて、恐怖を味わされながら、殺されて来た。
けれど、自分達は違う。
戦えるのだと、ドラゴンの命を奪えると。
殺されはする…けれど、こちらもドラゴンを殺せるのだと。
そう言うと、若人は自分の胸に手を当てる。
我々は決して無駄死にはしない、意味のある死が許されていると。
その言葉に、老人達は頷く。
戦えるというのが、幸せだというのは、若人よりも知っている。
ずっと、ドラゴンの恐怖に脅かされて来たのだから。
若人達が、戦闘機に乗る。
それが合図になる。
老人達が、死の戦場へと向かう。
宴をした拠点には、もう戻らない……
山を踏むドラゴン。
山を掴むドラゴン。
大きな大きな超弩級ドラゴンは、何も邪魔されずに真っ直ぐに突き進む。
歩くだけで、動くだけで町が破壊されて、命が消える。
誰にも止めれない。
超弩級ドラゴンの目的はただ1つ、ドラゴンという種を壊滅に追い込んだ国を滅ぼす事。
今更、その国を潰した所で、何も変わらない。
ドラゴンという種が、繁栄する事はありえない。
けれど、潰さなければ気が済まない、これは怨恨なのだ。




