異世界のアフレクションネクロマンサー562
重装兵も、銃兵達も歯が立たない所か、歯を立てる事すら出来ない。
近付く事すら出来ない悪魔。
ドラゴン達の最終兵器。
それは、もう生き物と呼んで良いのかすら分からない。
生物が生きていくとして、超えてはいけない大きさを超えた命。
この世のあらゆる物を食さなければ、その腹は満たされず、満たされない腹は、命をこの世に留まらせる事は出来ない。
生まれた時から、生物を蹂躙しながら、世界を破壊することを宿命付けられ、そして己も死ぬ事を課せられた哀れな生き物。
どうやってこんな生き物が生まれたのか、皆目見当が付かないが、それでも目の前にいるのが事実。
そして、そのドラゴンを討つための弾丸も、伝説の剣も無いのが事実。
唯一あるのは、戦闘機からの爆撃。
空から落とされる爆弾はドラゴンに傷を負わせるが、致命傷にはならない。
岩石のように硬い鱗に対して、パラパラと爆弾を落とすのでは効果が無い。
この世に現れた悪魔はに対して、人間達は退散するしかなかった。
我が国ではこの新たな脅威に、どう立ち向かえば良いのか議論される。
もしも、手を出さずにいれば、どの位の期間で自滅するのか、そもそも死ぬような生物なのか。
ありとあらゆる可能性が怒声を交えて響く。
誰もが誰も、あの超弩級ドラゴンに恐れをなして、この世に降臨した魔王に怯えて……だが、こんな状況でも、王だけは静かに口を開く。
その昔、人々はドラゴンに対して同じ気持ちを抱いていたと、絶対的な存在、決して触れてはいけない存在。
しかし、それがまやかしだと教えてくれた男がいると。
そう、その男はかつて、王から信頼を得て、なおかつドラゴンに立ち向かったあの男。
王は続けて言う。
居たではないかと。
皆のためにドラゴンの胸に勇敢に剣を突き立て、その勇敢なる立ち振る舞いに感化されて、英雄になった男がいると。
ドラゴンは死ぬ、胸を…心臓を潰せばと。




