異世界のアフレクションネクロマンサー549
地を這うドラゴンを不格好だと、一瞬でも侮ったのを後悔しないといけない。
羽も無く、小さくなったドラゴン……しかし、恐ろしさが縮小する事は無い。
銃弾を凌ぎ切ったドラゴンが暴れ狂う。
前脚を上げて、尻尾を振って、それだけで銃兵達が吹き飛ぶ。
反撃を試みて、銃を撃つ者達もいたが、ドラゴンの死物狂いの前では、意味をなさない。
何とかしなければと、その何とかで銃を撃つが、有効打にならない。
ドラゴンの命の血は噴出しているのに、死なない。
ドラゴンの死物狂いに引っ張られて、人間の命が吸われていく。
ドラゴンから吹き出る血が、吸われた人間の命なのではと、恐怖が広まりそうになるが、指揮官が剣を掲げて叫ぶ、援護しろと。
胸だけを狙えと、ドラゴンの心臓を切り裂くと、叫びながら突撃する。
1人恐れずに立ち向かう者に、ドラゴンも立ち向かう。
陣形を崩されて、バラバラに撃たれていた弾丸が、ドラゴンの胸に集中する。
ドラゴンの胸に、赤い薔薇がそえられる。
剣を突き立てるべき場所が示されると、指揮官は迷わずに、足を止める事無く突き進む。
仲間達が背中を押してくれる。
共に空を戦った仲間達が。
戦闘機の銃手から降りて、地上部隊に移籍した。
銃の扱い方を教える為に、地上へと帰って来た。
死んで逝った者達のように、自分も命を散らす時が来た。
命を吸うならば、吸えば良い。
同じ戦闘機に乗る、相棒が死んだ時から、その覚悟は出来ている。
ドラゴンが前脚を上げても、恐れない。
少しも、生きて帰りたい等と思っていない。
普通の者なら、ドラゴンが切り裂こうと前脚を上げただけでも怯えるが、指揮官にとっては、心臓を狙える最大のチャンス。
ドラゴンの前脚が上がったのを合図にして、一気に加速して、血の赤い薔薇に剣を突き立てて、足に思いっ切り力を込めると、体をドラゴンの肉体の中に押し込む。




