異世界のアフレクションネクロマンサー540
将軍の見間違いではないのかと思っても、兵士達も騒いでいる。
王だけが、男の姿を見つける事が出来無い。
将軍に、男がどこにいるのかと聞いてみると、空を指した。
将軍が指さす方に視線を向けると、遠くの空に何かがいるのが見える。
まだ遠くて、輪郭をしっかりと把握出来無くても、分かる事はある。
王は、ドラゴンが来たと、臨戦態勢を取れと将軍に命令を出し、家臣達の所に行って指揮を執ろうとしたが、将軍が待ったを掛ける。
一刻の猶予も無い状況では、将軍の待ったを聞いている訳にもいかず、バルコニーから出て行きながら耳を貸すと、将軍が、あれはドラゴンではなく、男だという。
そこで、王は外に向かっていた体を反転させて、バルコニーに戻り、空を指してあれが男なのかと問うと、将軍は力強く頷く。
それが一体どういうことなのか、皆目見当が付かないが、それでも、あれが男だというのなら……約束通り、来るのを見守らなければならない。
遠くに見える何かの輪郭が、次第に見えてくる。
それは、今まで一度も見た事も無く、想像でも、夢でも見た事のない存在。
鳥が空飛ぶ。
大きな大きな鳥。
大きな影が、王を包んだ。
戦闘機開戦。
大空を飛ぶ大きな鳥達、それは男が先生から学んで生み出した、空を飛ぶ乗り物。
それに、大砲を小さくした銃を取り付けて、戦えるようにした兵器が戦闘機。
今まで決して、踏み込む事の出来なかった、ドラゴンの聖域に踏む込む。
三体のドラゴンに対して、こちらは数十機の戦闘機で空を覆う。
数では戦闘機の方が多いが、体の大きさではドラゴンには劣る。
見ただけでは大きな獰猛な鷲に、小さなハトが戦いを挑むかのようであったが、小さな戦闘機には牙がある。
大きな獰猛な鷲に、小さな獰猛な鷲が襲い掛かる。
血みどろの戦い。
銃が放つ弾丸が、ドラゴンの羽を貫いて地上へと落とすが、ドラゴンが手を一振りするだけで、戦闘機が落ちる。




