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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
異世界のアフレクションネクロマンサー
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異世界のアフレクションネクロマンサー531

その申し出は、自分の願いを無碍にされて怒ったからではない。


この、戦争があちらこちらで起きている状況が落ち着くまでというのなら、それまでは男の役目は無いはず。


役目が無いのなら、帰るべき。


半年以上も街にいる。


そろそろ村に戻らなければ、村のみんなが心配するし、何より先生の墓前の前に帰りたい。


王は、長い間、男を街に引き留めてしまい、そろそろ帰らなければという事情を理解するが、だからといって、そのまま引き下がらなかった。


村に帰るの構わないが、この街に居を構えないかと。


それに掛かる資金も、身分も、全てを拠出すると。


村に帰るのは、いつでも好きなようにして良いが、生きていく場所を変えないかと誘う。


これ程の待遇は、異例中の異例。


街に住むというのは身分と財産も必要だが、教育を受けている事が前提になる。


街の秩序は、人の理性によって保たれている。


教育を受ける事で理性をつちかい、街でのおきてを学ぶ。


性根が腐った者は論外としても、いくら気の良い者でも、教育を受けていない者は不協和音を生み出してしまう。


差別的な言い方になってしまうが、村に住んでいる者達が、気の良い者達が多いのは分かるが、街に住ませるには、生きていく為の掟を覚えさせないといけない。


それはとても窮屈で、厳格な掟。


助け合いの精神というよりは、掟を破らない鋼の精神が大切になる。


村の人間と、街の人間とでは考え方も、生き方も違い過ぎて、馴染む事は大変な事なのだが、男は見事に適応してみせていた。


男の気品溢れる佇まい、時に見せる勇敢さは、街に住む者に勝るとも劣らない。


異例中の異例の特例だが、王の提案を喜び、是非ぜひとも街に住んで欲しいと、懇願する者達もいたが、それでも男は、先生の眠る地こそが故郷でありたいと願い、断るのであった。

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