異世界のアフレクションネクロマンサー527
誰も見た事の無い、ドラゴンの死に方。
空から堕ちて、自分の体を守るはずの骨が、内側から貫いて死んでいる。
ドラゴン同士で争って、体がボロボロになったというのもあるかもしれないが、それでも間違い無く致命傷を与えたのは、体の中から突き出た骨。
ドラゴンは殺せる。
多くの兵士達の命で立ち向かわせなくても、ドラゴンを空から地に堕とせば殺せる……しかし、その事実を知った事で、付き人達は暗い顔をする。
ドラゴンを空から地に堕とせば殺せるのは分かったが、どうやって空から堕とすという問題。
弓矢を撃っても、投石をしても、決して届く距離では無い。
ドラゴンは殺せるが、殺す方法が無い。
手にした答えは、人間には太刀打ちする方法が無いと、希望では無く、絶望が答えだった。
付き人達は、危険を犯してまで手にした答えに肩を落としながらも、男の方を見る。
それは責める為では無い、それは罵る為では無い、ここまで来た事を称える為。
結果はどうあれ、男は出来る事を命懸けでやった。
周囲からは、やはり片田舎の男と、後ろ指を指す者達がいるかもしれないが、それでもここで一緒に、ドラゴンの死を見届けた自分達には分かる……男が勇猛であり、勇敢であった事を。
残念な結果に終わったが、それでも、尊敬に値する態度だった事を伝えようとしたが、ドラゴンを見つめる男は、絶望などしていなかった。
確かに険しい顔をしていたが、それは、何か覚悟を決めている表情であった。
ドラゴンの死を見送り、休憩を挟みながら、街へと帰路に付くと、すぐ様に王へと報告を上げる。
王は、今回の結果に納得をされて、命を掛けて調査に出た事を褒めると、休暇を取るようにと指示を出すが、男がここで口を出す。
家臣の者達は、男が無駄な事をしたと思った為に、口を紡ぐように叱責したが、男は構わずに、ドラゴンを堕とす方法があると口にする。
すると、家臣の者達は苦し紛れの戯言を言うなと、怒気を含んだ言葉で男を怒鳴り付けたが、王は目を輝かせて、男の話を聞きたいと耳を傾ける。




