異世界のアフレクションネクロマンサー518
さよならの時間、別れないといけない。
「良いのさ……」
納得させる事が出来たかと言うと、分からない……が、
「何となく気が変わった……遺したかったら遺して良い」
「それだと、あなたが困るんじゃ?」
「その時は、その時で何とかする」
羽を羽ばたかせて、鎧から風を生み出して空に浮かぶ。
「変化は常に起き続ける……そう言う事だ」
ここで絶対に防がないといけない訳でも無いはず、この先でも、修正をするタイミングはあるはず。
もちろん、その選択をする事は、少々骨が折れる事にはなるが、
「時間が出来たら、君達が遺した物を見るよ」
それはそれで……その程度の運命はどうにかしてみせる。
「さよならだ。少年達」
「…………!!!?」
「…………!!!!」
羽を使い、風を使い、少年達の言葉を掻き消して、一気に空へと飛び立つ。
(後は任せる……)
あの子達がどのように、遺すのかを楽しみにして、自分の新たな運命へと立ち向かう。
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「あの……アフレクションネクロマンサー様?どうされたのですか?」
意識を失って、ベットの上で安静にしてリーフが、物思いにふけていた自分に対して、逆に心配そうな顔をして覗き込んでいる。
「いえっ……私の世界で、遺された本の事を思い出してました」
整った顔に、透き通るような肌……幼さと大人の中間の、美しい張りと柔らかな輝く肌に、また、ドギマギしてしまう。
礼人は、煩悩を取り払うように首を横に振り、気持ちを落ち着かせて、
「本…ですか?」
「えぇ…おとぎ話だと思われていた本です」
リーフと言葉を交わす。
「人間とドラゴンの争い…繁栄と命を握られた人間が、ドラゴンに立ち向かうお話で……」
「聞いてみたいです」
「分かりました…少しうろ覚えな所もありますが、それでも良ければ……」
その本は少し特殊で、一つの本を、三人の人物が作った本。
最初に話を書いた人が亡くなった後に、残された二人が物語を付けたし、挿絵を入れた特別な本。




