異世界のアフレクションネクロマンサー515
直接やり取りした訳では無いが、そう思っている自分がいる。
二人で、この世界に点在するオレンジの液体を処理するのは簡単な話だが、それは根本的な解決にはならない。
オレンジの液体は、エルフが用意した、この世界を攻撃する為の手段であるのは間違い無いが、それは一つの手段に過ぎず、処理をした方が良いのは間違い無いが、オレンジの液体を全て処理した所で、何か他の手段を用意するに違いない。
「俺は、この世界に点在する、エルフの仕掛けを破壊して回り……俺は、そのうちに死ぬだろう。そして、その後にエルフ達が何かを仕掛けて来るだろうが、それを眠っていたあいつが現れて、阻止するという手筈なんだ」
話し合って決めた役割では無いが、その未来を想像する事が出来る。
(俺の護った世界を、あいつが受け取り、次の世代へと繋いでいく……俺達はこの世界の守護者となって……)
「あの……」
「?」
「それで、僕達に納得して貰いたい事って?」
「そうだ、そんなトンデモ話を聞かされて、俺達はどうしろと?手伝えって事か?」
「あぁ…そうだったね」
ここまで、時間が無いにも関わらずに少年達に話をしに来たのは、雑談をする為では無い。
ここに来て、彼等に話したい事と言うのは……
「「「うぉぉぉぉぉぉ…………」」」
「みんなが来た」
「予定よりは掛かったか?」
遠くから雄叫びが微かに聞こえる。
陸戦隊がこの街にまで差し迫っている。
少年達が、雄叫びが聞こえる方に振り返り、状況を把握しようとしたので、
「俺の話を聞いてくれ!!」
「わっ!?」
「おいっ!?」
振り返った二人の肩を掴んで、無理矢理自分の方を向かせて、二人の瞳を見つめる。
もう時間が無い、二人が納得してくれるかは分からないが、それでも……
「君達は『先生』という大切な人を亡くしたけれど、君達には、愛した人を後世に遺す手段を持っている……それは本を遺し、絵を遺す方法だ」
「それは、出来ますけど…まさか!?」
「待てよ!!それは出来無い相談だろ!!」
本題を話し始めたばかりなのに、二人はある事に気付いて、拒否反応を示してしまう。
やっと聞き入れてくれたのに、これでは、元の木阿弥になってしまいそうになるが、
「勘違いしないで欲しい!!本を遺し、絵を遺すのは一向に構わないが、脚色をしてくれ!!」
「脚色?」
「何を付け足すんだ?」
押し切る形で、二人の信頼を繋ぎ止める。




