異世界のアフレクションネクロマンサー514
「選択肢……?何を選んだんですか?」
「あいつは……未来で戦う事を選んだんだ」
「未来?未来ってなんだよ?」
少し言い淀んで、出した言葉。
二人の事を、慰められる答えを出そうとしたのもそうだが、それと同時に、
「あいつは生きる事が出来たんだ」
「生きる事が出来た?」
「そう、やろうと思えば俺の命を奪って生きれた」
「それが選択なのか?」
「いや『それも』選択出来たのに、生き返る事が出来たのに、それすらもしなかった」
「生き返る事も出来た?」
あいつが、生き返ろうとしなかった理由を求める。
「オレンジの液体から伸びた手に襲われただろ。あれは生命のスープ…生命の塊でな……色々と省いてしまうが…特殊な命に限って言えば…生き返る事が出来る…………多分」
「そう…なんですか?」
「お前…それ本当か?何となくで言って無いか?目が泳いでないか?」
「あれに付いては、分からない事の方が多過ぎるんだ!!色々とあるんだ!!」
あのオレンジの液体を説明しろと言われても、俺が用意した物じゃないのだから、出来る訳が無い。
「とにかくだ。あいつは生き返るのでは無く、この鎧を預けて眠りに付いたんだ!!」
「は…はい……」
「わーたっよ、納得してやるよ」
二人は渋々というのか……こちらが騙そうとして、言っているのでは無いというのは分かるらしく。
先程までの、しょげた雰囲気は無くなり、柔和そうな少年は少し戸惑い、気の強そうな少年は呆れている雰囲気がして、
「お前達…私が本気を出したら、お前達は手も足も出ないんだぞ?」
「そ…そうですよね……ドラゴンですから」
「お前みたいのがドラゴンと言われても、こっちはこっちで困るけどな」
威厳を保つ為にも、釘を刺してみるが、二人から緊張感が戻る事は無かった。
(ったく…これだから人間は……)
一睨みするだけで、いかなる生物が恐れるというのに、人間というのは……
「話を戻すか…あいつは生き返ろうとしないで、鎧を預けた……」
あいつから預かった鎧……あの時、あいつが生き返られるように、オレンジの液体に沈め、泡が沸き立って生き返ると思い、手を伸ばしたが、オレンジの液体から蘇ったのは『人間』の鎧であった。
その意味を考えて…あいつの思惑を察すれば……
「それは、今この世界で二人が揃っても、意味を成さないから……今も戦うべきかもしれないが……この先でも戦わないといけないから……俺達はバラバラの時代に生きて、戦う事を決意したんだ」
それが、あいつの答えだったのだろう。




