異世界のアフレクションネクロマンサー512
気の強そうな少年は、目が血走り、息を荒くしているが、それでも柔和そうな少年の制止を受け入れている。
本当は、横顔に一発の拳を入れたいと思っているであろうに、それでも我慢をしている。
(良いものだな…支えてくれる者がいるという事は)
こういうの相棒と言うのだろう。
もう少し早く、ドラゴンと人間と争う呪縛から解き放たれていれば、俺達も……
「……嘘は付かない。それに、これから話す事は、君達に納得をして貰わないといけない事だから」
「納得…?何を納得しろって!?先生が死んだ事をか!!」
「落ち着いて!!落ち着いて話が聞けないなら離れてて!!」
気の強そうな少年は、こちらの言葉一つ一つに反応してしまうが、それを柔和な少年が抑えてくれるが、これではまともに話が出来ない。
(時間が無い……)
人間達がここに押し寄せてくる前に、話をしないといけない。
どうしたら良いものかと頭を悩ませるが、
(……お前なら、こうするかな)
あいつなら、どうするかと思いが過ると、
「これを見て欲しい」
体が自然と、少年たちの前に出ると、右腕の鎧を見せていた。
「…これが、何なんですか?」
少年達から見れば、少し変わった鎧の腕にしか見えないかもしれないが、
「言っただろ、預かったって」
右腕を崩れた建物に向けて、
『グゥゥゥゥゥンンン…………』
「なっ!?」
「銃!?」
弾丸を解き放つと、少年達の目の色が変わる。
それもそのはず、本来、銃はドラゴンと戦う為に人間達が生み出した特別な物。
「そうだ、これは銃だ。君達人間にとっての最大の武器を預かったんだ」
それが、ドラゴンの手に渡ったという事は……
「奪ったんじゃなくて…預かったんですか……?人間を皆殺しにする為に、奪ったんじゃなくて?」
ドラゴンの手に、人間の武器が渡った事は絶望すべき事のはずなのに、
「それは違う。この世界を護る為に、ドラゴンの力と人間の力が合わさる必要があるから、あいつは預けてくれたんだ」
自分達の事を真っ直ぐと見つめる、ドラゴンの燃えるような力強い瞳には、絶望よりも希望を抱いてしまう。




