異世界のアフレクションネクロマンサー511
「何を!!」
話し合いで事を済ませたいと思うのだが、気の強そうな少年は前に出て詰め寄ろうとしてくる。
「そうか…仕方無い」
大切な人が殺されたと思っているせいか、こちらの話を聞こうとしない。
その気持ちは分かるが、こうも頭に血が上っていては、話し合いは難しいだろう。
力の差を分からせれば、大人しく従順になるという事は無いだろうが、
「相手をしよう」
「舐めるなよ!!」
それでも話を聞かせる事は出来る。
飛び掛かろうと向かって来る少年に、
(尻尾で軽く払うか)
出来るだけ怪我をさせないように配慮して、足ばらいをしようとタイミングを計るが、
「待って!!」
「……っ!?なんだよ!!」
もう一人の、柔和な感じの少年が、気の強そうな少年を止める。
「先生はコイツと一緒だったんだ!!それで、コイツがいるって事は……!!」
普通に考えたら、先生は死んだという発想になってしまうが、
「あなたがいるという事は、彼が言う通り『普通』に考えれば先生は死んだという事です……けれど、あなたは「君達が思っている答えと違う」と言いました……」
「そうだ。君達が思っている『私に大切な人が殺された』という考えは間違っている」
「話を聞かせて貰えませんか?」
「こいつが、本当の事を言ってる保証は無いだろ!!」
気の強そうな少年は、柔和そうな少年の言葉をねじ伏せて、殴り合いによる復讐の決闘を望むが、
「その鎧…先生からですか?」
「そういうのが分かるのかい?」
「何となくです」
柔和そうな少年は、こちらが身に纏っている鎧が『人間』から預かった物だという事に気付いてくれる。
「そうか…正しく言うと君達が言う『先生』から預かった物じゃない。『先生』という人物が欠片になって託した『人間』から預かった物なんだ」
「だったら!!先生は殺されたって事じゃねぇか!!」
気の強そうな少年は『欠片』という言葉に反応して、先生が殺されたと結論付けて、拳を振り上げるが、
「待って!!話をちゃんと聞いて……!!話をちゃんと聞かないと……先生がどうやって死んだか分からないじゃないか!!」
柔和そうな少年は、気の強そうな少年が振り上げた腕を掴んで、止めるのであった。




