異世界のアフレクションネクロマンサー507
自分がドラゴンだという事を忘れ、自分が抱き抱えているのが人間だという事を忘れて、
「着いたぞ!!」
一目散に辿り着いた所は、
「よしっ!!まだ誰も来ていないな!!」
目指した所は、オレンジの液体が満たされてる噴水であった。
思い出したのだ、コイツはここで息を吹き返した事を、ここに沈めれば、コイツはまた生き返れると踏んで、ここに来たのだ。
抱き抱えていた人間を、オレンジの中の液体にそっと沈め、
「さっさと戻って来いよ!!時間はそんなにないんだからな!!」
人間が生き返るのを待つが、もうそろそろ、人間達がこの街に来る。
表舞台の戦いは人間に勝ちを譲ったから、勝った人間達がここに雪崩れ込んで来るのは時間の問題。
自分達は裏の存在、あまり表の存在と関わるのは良くない。
「そうだ…表裏が一体化するには、あまりにも時間が早過ぎる」
表と裏が交われば混沌になってしまう。
自分達の力は、表の世界を破壊しようと思えば出来てしまう力。
それが、何を生む出すのかと言うと、表の世界の成長を妨げてしまう。
今更になってしまうが、我々ドラゴンの力は裏の力だったのだ。
決して表舞台には出て来てはいけない力。
しかし、何かの拍子で表の世界で繁栄してしまったのだ。
裏で細々と生きて、表と隔離して生きるはずだった強大な命が表に居てしまっては、人間達は常に災害に見舞われている生活を送らなければならなかった。
その結果、人間達の成長は遅れ、遅れた成長はやがて止まり…そして、やがては……
「……まさか」
そこであることに気付く。
自分達もこの世に生きる命なのだから、この世で力を振るって繁栄するのを許されている思っていたが、
「俺達ドラゴンは…人間の文化を破壊する為に……送り込まれた存在なのか?」
何かの根拠がある訳では無い…しかし……もしも……我々ドラゴンが表も裏も支配していたら?
我々ドラゴンは、単なる他の生物より優れた生き物として……生き物としての頂点に立つだけの存在で終わっていたのでは無いのだろうか?




