異世界のアフレクションネクロマンサー501
その信じた結果が、
(今は…生きてる……)
この世に命を繋ぎ止めてくれている。
「うっ……」
自分がなぜ生き残ったのかを思い出すと、意識が途絶えそうになり、
(考え…無いと……)
死なないように…まるで、雪山で遭難した者が、命を凍らせる寒さに耐えて、永遠の眠りに誘われないように、意識を繋ぎ止めようとする。
何か…何かないかと、視線を泳がせ、今にも消えていきそうな意識を繋ぎ止める何か求めて……
(……お前も………ボロボロ……なっちまった……)
意識を繋ぎ止める為に泳いだ視線に、ボロボロになった人間の姿が映る。
それは命を掛けた戦いであった。
あれには驚かされた。
神の世界である、蒼い空を越えた人間。
自分の力で辿り着ける所が頂点だと疑わずにいたが、よくよく考えれば、蒼い空の先には輝く物がある。
そこに着目する事が出来たからこそ、人間は空間の歪みから逃れる事が出来て、その発想が出来なかった自分は仕損じた。
あの時人間が、自分の事を殺せる貴重な爆発する物を、使ったのは煙幕を張る為。
蒼い神の世界すらも越えて、向かった未知の世界。
もしも、自分も未知の世界を想像する事が出来ていたら、人間の逃げ場を奪うように、空間の歪みを広げるのではなく、人間を消滅させる為に、未知の世界を歪ませていた。
しかし、未知の世界を想像出来無かった結果がこれだ。
いくら嘆いた所で、結果は変わる物では無いが、未知の世界から突撃して来た人間の鎧は、あの時点でボロボロであり、それは空間の捻じれを完璧には避けていない事を示し、
(良い所まで…追い詰めていた……にな……)
神の世界すらも越えられる鎧を、握り締めるだけで砕ける程にダメージを与え、人間自身にもダメージを与えていた。
空間の歪みを広げずに、狭めたままで神の世界を貫通していたら、
「へっ…へへっ……俺が…かって…………たよ……な…………………」
そうしていれば、間違い無くドラゴンは、死の瀬戸際で眠りに付く事は無かった。




