異世界のアフレクションネクロマンサー494
天空より高い世界の果てで、たった二人きりで舞い踊る。
誰も見ていない世界で、たった二人きり。
互いに険しい表情を浮かべてもなお、どちらからも「止めよう」という言葉も、態度も出さない。
尊厳?使命?宿命?
「うぉぉぉぉぉぉォォォォォォォォォ!!!!!!!!」
『グォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!』
憎しみ?怒り?恨み?
全てが違う。
力の限り吼えて、顔中の皮膚をしぼめて、体中の筋肉が弾けそうになる程に動き回って……このまま死力を尽くせば、それだけで二人共、死んでしまいそうであったが、それでも蒼い空を駆け巡る。
二人にしか分からない想いを抱いて、命を削ってのダンスが続けられていたが、
『『『『『バゥサァァァァァァァァァァァアァンンンンン!!!!!!!!』』』』』
先に、ドラゴンの方が動きを止めた。
恐ろしい時間が流れる。
追い付けないから、手が届かないから諦める等ありえない。
ならば何が起きるかというと……起きる事が分からないから怖いのだ。
『グゥゥゥゥゥ…………』
唸り声を上げながら、四枚の羽を閉じるでもなく、広げきる訳でも無く、自分を中心にして、皿のように湾曲させて羽を維持すると、
『グゥゥゥゥドォォンンンボッ!!シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!』
そのタイミングを逃さずに、人間が全弾発射を仕掛けて来る。
もう、互いに手の内を見せあうのは終わっているのだ。
さっきのような、固唾を呑む時は無い。
動きを止めたらそれは、狙い所なのだ。
人間の最大火力が迫るが、それでも、ドラゴンは動かず、
『ドッドッドッドッドッドズンッ!!!!!!』
先に飛んで来る弾丸が、無防備に晒されている、鱗の無い厚い皮膚に突き刺さる。
覚醒したドラゴンの肉体は、放たれた弾丸を大事な臓器や心臓を守りはするが、鱗のように跳ね返す事は無い。
今は耐えられるが、体がボロボロになれば、この弾丸も体の芯までは届くだろうが、
『ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!』
その前に、ミサイルが、
『ボゴゴォォォォォォォォォォ!!!!!!』
爆発した。




