異世界のアフレクションネクロマンサー492
「…………」
『『シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ』』
背中のノズルの向きを変えて、足を少し前に出して後ろに下がる。
それは、再びこの神の世界に戻って来たドラゴンに、怯えての行為ではない。
確かに、体を震わせる衝撃に怯んで、体を縮こませてしまったが、そんなのは関係無い。
蒼い空に、二対の羽を持った太陽が昇る。
灼熱と化した太陽は、自らを赤く…赤く輝かせて、暗い蒼い空を、明るい青い空へと変える。
「ドラゴン……」
それは人々を…いや、多くの生物を圧倒して来た、巨躯を誇るドラゴン。
見ただけで種の違いを分からさせられて、見ただけで力の差を感じさせて、見ただけで絶望を覚えさせるドラゴン。
見るだけでも不敬で、触ろうと等という愚かな行為をすれば、命を持って償わければならない。
「分かる…分かるよ……なぜあの人が、完全な姿の『人間』よりも『ドラゴン』の姿を求めたのか……」
人よりも優れている肉体だからとか、神の領域へと辿り着ける鎧を着れる肉体が必要だったとか、そんなチンケな理由ではない。
ドラゴンの肉体こそが頂点なのだ。
全ての種と比べるまでも無い、行き着くべき答えがドラゴンの肉体なのだ。
目の当りにする『人間』という器に収められていたドラゴンではない。
『グルゥゥゥゥゥゥ…………』
「あぁ…決着を付けよう」
神の領域に辿り着いた『ドラゴン』と、
『グウゥゥゥオォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!』
「うぅおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」
神の領域に辿り着いた『人間』の、真の戦いが始まる。
________
『グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウゥンンンンンンンン!!!!!!』
『ガキガキガキガキガキガキガキガキガキガキガキガキガキ!!!!!!』
機関銃が吼える。
圧倒的な肉体を誇るドラゴンに弾丸が喰らい付くが、鱗に傷を付けるのが精一杯。
『ボォォォォォォォォォォォォォォォオォンンンンンンンン!!!!!!』
『ヒュゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!』
ドラゴンが吼える。
当たれば、如何なる生物も灰と還る光球が放たれるが『人間』という脆弱な生き物を、神の世界に導いた鎧を捉える事が出来ない。




