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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
異世界のアフレクションネクロマンサー
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異世界のアフレクションネクロマンサー489

羽がズタズタにされると、風を掴む事が出来無い。


風が羽から抜けていく。


(死ぬのか……)


それは、ドラゴンにとっての死。


優れた種を選別する地から落ちただけでも、致命傷の傷を負うというのに、神の領域から落ちたらどうなってしまうのか?


体中の骨が砕ける?肉が弾ける?それともそのまま消滅する?


誰もが経験した事の無い最期。


そんな初めての貴重な体験を、これからする事になるのだが、


(だとしても…それを味わえるか?)


目の前に迫る、杭のような物がそれを許すかどうか。


手足を縮めて丸くなり、ボロボロになった羽で体を包むと卵のようなシルエットになる。


最期の抵抗。


(ドジを踏んだな……)


奴の力量を見極める為に、追い掛けるオレンジの鳥を生み出したのは順当だったが、その結果、奴の弾丸に脅威を覚えてしまい、前に飛び出せず、時間を無駄に消費してしまい、ズルズルと悪い方に転がった。


どうやって飛び付くかを考える前に、何も考えずに飛び付いて、拳の一つの二つ殴りつけてやれば……


「良かったな……」


『バッガァァァァァァァァァァンンンンンンン!!!!!!!!!!』


体が爆発する…体が焼ける…体が裂ける…体が砕ける…体が…体が……体が…………………


(……………………)


それは一瞬で起きた衝撃。


何とも恐ろしい攻撃だった。


穴が空いた羽とはいえ、オレンジの紋章を浮かび上がらせているにも関わらず、体中が焼けた。


体の表面の肉、鱗だけでなく、爪と肉の間、鱗と鱗の境目、隙間という隙間を焼き、焼かれて水分を奪われた所からヒビが入り、爆発の衝撃がヒビを砕いて肉ごと切り裂く。


(……………………)


これだけの事が苦痛が一瞬で、体を襲ったのだ意識を保てるはずがない。


一瞬で襲った苦痛に、一瞬で解放されたが、羽を動かす事も無ければ、指先一つ動かす事無く、神の領域から落ちていく。


耳の穴まで焼けて、音が聞こえなくなってしまったが、力強くまぶたを閉じたお陰で、目は無事だった。


頭から真っ逆さまに落ちながら、景色が映り込む。

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