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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
黒い海
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黒い海22

天国に行ったとしても前世の記憶を消して欠片にする為に最低でも50年~100年は掛かるらしく。


地獄に堕ちた魂はその苛烈な浄化に耐え切れずに、そのまま壊れて無になってしまうことも珍しくないらしい。


……っと、ここで話を戻す形になるが、地獄でなく、ましてや天国でもない黒い海に落ちた者はどうなるのかという話。


ここは成仏出来ない魂達が集って溶けて、各々の恨み辛みに苦しみが折り重なってゆく場所。


それはまるで編み物のように何重に折り重なり、互いが互いに絡まりあい、一つの大きな旗のように決して離れることはない。


もし霊能者がこの嘆きの者達を救うというのなら、絡まり合いの綻びを見付けて順番に成仏させてあげないといけないのだが如何いかんせん。


この黒い海という名称のように、海のように広く、深海のように深く、宇宙のように膨張し続けていると言う人もいれば、その時その時によって風船のように伸び縮みする所だと言う人もいる。


唯一、分かっているのはアリの巣のように断層があって、部屋が幾つもあるという事だけ、この全てを明かされていない黒い海で綻びを探すのは一苦労なのだ。


ならば、ここに堕ちたものは未来永劫苦しみことになるのかというと、そうでもない。


この黒い海に落ちたものは互いに複雑に絡み合い、互いの苦しみを供給することでより強固な繋がりになる。


それゆえに容易くは成仏させてあげることは出来ないのだが……


(まさか二層と三層の間で出会うことになるなんて……)


礼人の白い瞳に、輝く魂の先で動くものが見えていた。


それは黒い海の中で泳ぎ、それはとても大きく、人と比べるなどおこがましいほどに大きい。


なぜこの黒い世界を海と呼称するのか?


それはこの嘆きの海で見つけてしまったから、


(相も変わらずに大きい……)


鯨のように大きな体を持つ大きな黒い鯉を……

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