異世界のアフレクションネクロマンサー485
オレンジの絨毯を突き抜けた杭のような物は、真っ直ぐにどこかへと、ゆっくりと飛んで行く。
「突き抜けるだけの攻撃?」
全く以って意図の分からない攻撃。
(それは…意味があるのか……?)
オレンジの絨毯を突き抜けるだけなら、先程の力強い一撃を撃つだけで良く、何なら、そちらの方が速度もあるのだから当たりやすい。
(ただ気を逸らす為にか?)
奴は、再生するオレンジの鳥の追撃に四苦八苦している。
それを考えれば、突き抜ける杭は、こちらの気を逸らす為の囮。
こちらを攻撃する意図は無いのかもしれないが、この場を誤魔化す意があるのかもしれない。
ならば、あの囮に気を取られずに、オレンジの鳥の再生に気を回す方が得策……
(……本当にそうなのか?)
自分が行っている、オレンジの鳥を再生する攻撃は、確かに厄介で、奴からしたら何とかしたい攻撃なのかもしれないが……それだけなのだろうか?
あの時の、路地裏に誘い込み、曲がり角で壁を蹴っての宙返りからの、蹴りを入れて来た時の事を考えたら、これだけを単体でやって来るだろうか?
(何かを仕掛けて来る?)
気が散っては、オレンジの鳥の再生に少々手間取る事にはなってしまうが、
(……警戒すべきだな)
それでも、人間がしたこの行為には裏があると警戒すべきだ。
オレンジの絨毯に手を広げながらも、明後日の方向に飛んで行く、杭のような物にも気を払っていると、
『ボッ!!シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!』
「……っ!?」
その読みが当たる。
明後日の方向に飛んで行く、杭のような物の後ろから火と煙が噴き出されたのが見えた瞬間に、杭のような物が加速し、
「来るのか!?」
明後日の方向を飛んでいたはずの杭のような物は、雲を吐きながら旋回して、こちらに正面を向ける。
「まずい!?」
体が叫んだ本能が口に出る。
こちらに迫って来る杭のような物は、槍のように先が尖っている訳ではなく、丸っこい顔をしていて、ぶつかったとしても体を貫く事は無いだろうが、
『ボォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!』
杭のような物から感じる力が、尋常ではない。




