異世界のアフレクションネクロマンサー480
(それに、疲れも感じない)
天空へと導いてくれる鎧は、私の中の力を消費して飛んでいるのだが、鎧の中に蓄えられている……多分、あのドラゴンのオレンジの紋章に匹敵する何かが反応して、自分の力を倍増してくれる。
『シュゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!』
天空へと誘ってくれる鎧に導かれて、どこまでも空へと上がって行く途中で、
「あれは…戦闘機か」
兜の黒曜石の板が、遠くにいる戦闘機達をマークしてくれる。
「…………」
あそこにいるのは、別世界の人達。
欠片になってくれた人の仲間だが、私にとっての仲間というには、少し違う。
彼等の所に行き、事情を説明して、共にドラゴンと戦うという選択肢もあるかもしれないが、
「関わるべきでは無い……か」
彼等の役目は終わっている。
こちらの世界に連れて行って良い者達ではない……あれは守るべき存在。
挨拶も、別れも告げる事無く、視線を空へと戻し、
「聖域すらも…越えて……」
ドラゴンだけが許されていた聖域を、人間が戦闘機で侵犯した聖域すらも越えて……白い雲を置いていき、青い空すらも突き抜けて行くと空が広がっていく。
一筋の光となって、神が与えし聖域を越えて……
「ここは…空……なのか?」
辿り着いた神の世界は、蒼かった。
暗い空が頭上一杯に広がり、今しがた飛び上がった空を見下ろすと、雲の運河が流れている。
「神も聖域を与える訳だ……」
この世界と比べれば、聖域もまた地上だ。
私達が、聖域と信じて疑わなかった空も神にとっては……
「優れた種を選別する場所程度にしか、過ぎなかったという事だ」
後から追って来たドラゴンが追い付き、
「……お早い到着で」
「そうか?少々待たせてしまったかと思ったがな」
私と同じように、神の世界を視る。




