異世界のアフレクションネクロマンサー479
「ところで、その兜はこっちが見えるのかい?」
分厚く重厚な鎧が、軽やかに宙に浮くのも中々不思議な物だが、人間がかぶっている兜も不思議で、兜は頭全体を覆っているのだが、顔の正面の部分だけは、黒曜石のような黒いガラスのような物で出来ている。
こちらから見る分には、人間の表情は見えないのだが、
「あぁ、こちらからは、そのオレンジの紋章がはっきりと見えている」
どうやら、向こうからはこちらが見えるらしい。
摩訶不思議な戦闘機の鎧を手にした人間。
その力が、あの時と変わらないというのなら、
「随分と着心地が良さそうだ」
「オレンジの紋章に、対抗する為の力だからな」
「それは…楽しみだ」
自分とまともにやり合う事も可能であろう。
少し首を下に向けて、手を握り締めると、オレンジの紋章がより強く輝き、
「そうだ…もう遠慮する事は無い。お前の本気を受け止めてやる」
『ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!』
人間も輝きに呼応して、力をより強くし、絞り込み、
「先に空で舞っている」
『ボヒュゥゥゥゥゥゥゥゥッゥゥ!!!!!!』
オレンジの液体を、力の圧だけ吹き飛ばして、一気に空へと上がって行く。
信じられない速度。
羽ばたいていないのに、ドラゴンよりも速く飛び上がって、遥か彼方へと向かってしまうが、
「待てよ!!一人で踊ってもつまらないだろ!!」
こちらも、負けじとオレンジの紋章の力を解放して、人間を追って空へと旅立つのであった。
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(これが、この鎧の力なのか……)
ドラゴンの力にも驚いたが、この鎧の力にも驚かされる。
この鎧は、戦闘機を元にして創られているが、実際はオレンジの液体から創り出されている。
イメージから創り出された鎧。
道標が、黒曜石のように輝いて映し出した、その姿に息を飲んだ。
それは、人間の中にある鎧の姿とは、あまりにも毛色が違ったから。
人の弱い体を守る為の鎧とは違い、力を与える鎧。
鎧を着ないで空を飛んだ時は、風を強く感じて、風圧が体を抑えて来るのを感じたが、この鎧は、ドラゴン以上の速度で空を上がっているのに、鎧が空気の中を泳いでくれるお陰で、風圧をほとんど感じない。




