異世界のアフレクションネクロマンサー478
嘘のように、体が一瞬でときめく。
冬が訪れて、次の暖かな春を待つ為に、体を眠りに付かせようとしている時のように、体から熱を失ったはずなのに、命が再び動き出す春が訪れて、体が目を覚ましたかのように鼓動を始め、
「その姿は、何とも不思議だ」
「キサマに対抗する為に、力を見せて貰った」
『人間』の姿に、オレンジの紋章が自然と浮かび上がる。
期待している所の騒ぎではない、もう答えが出ている。
「良いじゃないか…『それには』こちらも全てを出し切らないと殺されそうだ」
『コッッォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!』
見定める為の本気、本気でやり合う為の調整……そんなのは一切いらない。
再び、目の前に現れた人間たが、姿形は先程の『ドラゴン』の体に『人間』という部分は変わらないが、
(なんとも…おもしろい鎧だ……)
新たに新調した鎧が、何とも不思議。
鎧と言えば、人間が鉱石を集めて、その柔らかい身を守る為の防具にし、我々も仲間の亡骸から、皮膚を剥いで、戦闘機からの攻撃に備える防具を造り出したが、
「それは身を守る為の防具…ではないな?」
人間の防具は、それとは違う。
噴水から現れた人間は中に浮いている。
浮かぶこと自体は、羽を羽ばたかせれば簡単に出来る事ではあるが、
『コッッォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!』
それを人間の鎧が担っている、羽を羽ばたかせる事無く、力を放出して浮かんでいる。
「F-15S/MTD」
「なんの言葉だ?」
「名前だ」
「その鎧のか……?なるほど、あの戦闘機をイメージして創ったのか」
言われると面影がある。
人間が作った鉄の鎧よりも、ずっと重厚に膨れているのに、綺麗な丸みを帯びている。
(……力が凄いな)
右腕、左腕、右足、左足と纏っている部分も、分厚く膨れて重みがあるはずなのだが、
(背中と、その足か……)
背中と足から噴き出る風が、重厚な鎧を、鳥の羽のように軽く浮かび上がらせる。




