異世界のアフレクションネクロマンサー474
手加減をしていない、手を抜いていない…けれど…だけど……それは神が、人という存在を試したくなり、、対等な姿で、対等な力で挑んでくるような余裕……
「んんんぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!」
草原に腹這いになって、駄々をこねるように足をバタバタさせながら、声にならない喘ぎ声を漏らす。
素の状態でもドラゴンの方が強いのに、その上で、オレンジの紋章を浮かび上がらせる事が出来るドラゴン……
「どないせぇと!!」
体の中の欠片から、聞いた事の無い言葉が漏れた。
考えるのが面倒になり、体をひっくり返し、手を頭に回して、空に浮かぶ思い出の太陽とプカプカと浮かぶ白い雲を見上げる。
「…………」
いっその事、何かの手立てを考えるのは無駄だと諦めて、このまま目をつむり、最後の時間を満喫するのも答えなのかもしれない。
「……負けたんだから仕方無いのか」
あの時、ドラゴンの付け根折って、ドラゴンが紋章を浮かび上がらせる前に、止めを刺させれば、勝ちの目はあったかもしれないがだのが、
「惜しかったなぁ……」
それも、今となっては、もしもの話。
「ちょっとね……」
目をつむって、眠りに付くまでに何か思い付いたら頑張ろうと、息を整えて眠りに付く態勢に入る。
『……スゥ…スゥ』
心地良い風、気持ち良い太陽の温かさ、フカフカで柔らかい草……それら全てが眠りに誘い、
『スゥ…スゥ……んっ』
心地良い感覚に満たされた体の中で、唯一鼻に漂う、焼け焦げた匂いだけが、深い眠りに誘うのを邪魔してくる。
『んっ…んんっ……』
たった一つ、鼻以外の感覚は、全て眠る態勢になっているというのに、鼻に感じる匂いが意識を繋ぎ止める。
眠ろうとしている体に引っ張られて、深い眠りの底に落ちようとしても、鼻に感じる匂いは、私の事を掴んで離さない。
立ち上がる気にもなれない程に、体は眠りに誘われているが、焼け焦げた匂いに免じて、渋々と目を開けると、
「道標……」
目をつぶっているうちに、道標が目の前に現れていた。




