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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
異世界のアフレクションネクロマンサー
1012/1400

異世界のアフレクションネクロマンサー460

(うっ……)


視界が飛ぶ。


殴られた衝撃で、私の意志とは関係の無く、視界が明後日の方向を映すが、そこには未来は無い。


(ま…ずい……)


命懸けの戦いをしている時に、よそ見をするなんて自殺行為。


ドラゴンのから見たら、私の首は横を見ていて隙だらけ。


どれだけ大振りな攻撃をした所で、避けれる事は無い。


(やられ…る……)


死ぬイメージが浮かぶ。


爪を立てたドラゴンが私の首を狙うイメージ。


命に直結する首。


そこには首を守る為の骨は無く、強靭な筋肉があると言えど、ドラゴンからすれば柔い肉。


鋭利な爪が首を貫く、その瞬間から喉が詰まって息がまともに吸えなくなり、苦しみに悶えれば、決着が付いたと爪を引き抜かれて命の鮮血が吹き出す。


「人間をまだ理解していない…良い参考になった」


「……!!」


ドラゴンからの死の宣告、これから私がイメージした通りに殺される。


新たに息吹いた命は、少しの時を過ごして終わりを告げ……


『バッッサァァァァァ!!!!!!!!』


「なにっ!?」


終わりを告げる気にはなれないと、羽が力強く羽ばたいた。


「くっ…!!」


一気に浮上する体、視界が広がる。


まるで…まるで……戦闘機が空へと上がる時のような、地上の重さを振り切る感覚に胸が躍る。


_______


(まだ…人間には隠された力がるのか……)


あの人間との最初の攻防で、ある事を得た。


それは自分の…自分達の力任せに戦う、野性的な戦い方は通用しないという事。


当たれば一撃で殺し、当たれば致命傷を与える攻撃は、野生の世界では正解だ。


獲物に逃げられないように一発で仕留め、縄張り争いならば、無用な長期戦で命を削る訳にはいかない。


だから、一つ一つが大振りで、力こそが正義であるのだが、それをあの突きを弾いた動きで全てが否定された。


人間の言葉に戸惑ったのは間違い無いが、それでも十分にみぞおちを貫く事が出来る突き。


これで早々に決着が付くと思ったが、人間が差し出すように伸ばした手に、腕を叩かれただけで突きは意味を成さなくなった。

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