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異世界ザマス貴族譚  作者: まっきよ
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公国に広まる令嬢

彼の地、ナイアガラ公国、そこには人間以外にも多くの種族が存在する。


龍人、獣人、エルフ、ドワーフ、妖精、その他の亜人諸々、多種多様な種族が存在している。


この状況が、珍しいかと言われれば、世界的に見て珍しいと言えるだろう。


それだけに公国と名乗っている時点で、多種族もとい地位の低いものを無碍に扱ってはいけないという確約を、昔の人たちが代々受け継いできたようだ。


しかし、時代の流れか、子供の悪戯な自尊心、生まれによって自分以外を下に見たり、そういうものが王族に生まれると、その体制は一変する。


表向きには、この国には奴隷というものが禁止である。


よほどの貧乏のものでも、下請けの仕事を一日の休みを設けて定期的に与えるというのが常である。


しかし、権力を持った上層部、このものたちは隠れて不法移民などを攫って仕入れる。


そこで、不法な行為を理由にして、罰を与えると言いながら、強制送還をするほど善人ではない。


彼らは弄ぶのだ。以前は強き者をこぞって集めた人と魔物の対決であり、人の尊厳、命を守るため最低でも人間を守る措置があった。


しかし、無残にも隠れた対決は人と人の対決、どちらが死ぬまでという過酷なルールで殺しあう。


貴族というのは表は取り繕っているものの、裏では法を自ら侵害する垢となっていた。


平民、特に亜人であるものにはその特殊能力で大体の悪事があることを掴んではいるが、報復を恐れ、また、これまでの公国に対する忠誠心から無闇に暴れまわることはできなかった。


自体は中々解決に進まず、外からの評判はいいので流れてくる難民は後を絶たない。


無論、こんなことをしては、他の国を刺激し、本来のこの国は腐っていく。


そんな国に、ある変わった少女が生まれた。


その少女は、家族でありながら亜人や獣人などと仲良くし、権力を振りかざすことなく、己を律する。


周りが嫌がることはしない。したとしても、理由を述べ、説得しようとする姿は、肥え太った豚のような悪徳貴族を黙らせるいい圧力になる。


彼女の名はプリエ、侯爵令嬢として有名であり、どちらかといえば、家名のミスクリークよりも有名かもしれない。


亜人と人間以上に触れる人間、貴族の娘、そんな者はこの国はおろか、他の国を探してもいないのは明白である。公国は腐っても他よりは多種族を受け入れてるのであるから。


そんなプリエなる稀な人間は、そのやること、スケールが広く、子供にして、自分のお小遣いを亜人と遊ぶために使う。


一緒にショッピングして、みんなで輪を囲んで、食卓を共にするような器が広く、種族の為にと言わんばかりの行動をしているかのように周りには見えるのだった。


プリエは子供といったが、現時点で7歳という若さである。


4歳からピアノやバイオリンなどの習い事を欠かさず行っており、それは今も続けている。


最初は両親に勧められてやったものだが、今は独自に曲を演奏するほどだ。


彼女は芸術に才能があるらしく、習っているピアノやバイオリンは勿論のこと、壮大な絵画を描いたり、書簡を窘めたり、本人と同じく綺麗という文字に身を包んでいるかのように順応性が高かった。


さっきも言ったが、バイオリンをしてピアノをしながらも、多種族の者と触れ合う時間を作っているのだ。


例え、自分の思う芸術が伝わらなくとも、自分の書いた文字が作法が理解されなくとも、何かすると喜んでくれる。


それは、何かよく分からないものを見せられる多種族の者にとっても、自分達が敬愛する少女の期待する顔を思ってのことで、良好な関係を築いていた。


そして、現在7歳になり、周りの子どもに比べて頭2つくらいは周りを見据えるようになったプリエ、今まで、楽しく過ごしてきた多種族の者達。


彼らは、変わらずプリエに接してくれている。だけれども、最近暗い表情を見せることが多くなる。


それを、自分の所為ではないにしろ、なんとかしてあげたいというプリエ。


まずは、そんな彼らの言語を学ぶことにした。流石に、幼少期には、相手の言葉という言葉のコミュニケーションをしてこなかった。


何かを掲げれば、みんなが楽しそうに反応する。ジェスチャーで静かにしてくれたり、表情で嫌なこと、やって欲しくないことはしないでくれたり、やってほしいことは真似してついてきてくれた。


けれども、複雑なこと、秘めた気持ちは伝えることが難しい。そこで、プリエは7歳から多種族を理解するために言語を2年間かけて修業するのであった。


その2年間の中でも、プリエは多種族との触れ合い、行動を忘れなかった。母親はプリエの話を笑顔で聞いてくれる。唯一の理解者だったと行っても良い。


逆に父親は、そうかそうか、と言いながらも難しい顔をしていた。


彼の侯爵という立 立場上、公爵の地位に者には弱い傾向があり、それでも、娘のことをプリエのことを考えると、平和的に考えるとプリエのことは間違ってない。


なので、たとえ公爵からそちらの娘は何なんだと言われても、プリエの行動を嗜める事はしなかった。


幸い、王様までは腐りきってはいない。


ただ、その代わりに、その王子の何人かは公爵に面倒を見てもらった結果、多種族に良い印象を持つような性格にはならなかったのだが。


そうして、トップが腐りゆく中、プリエは9歳となる。早い人は婚約を始める状況で、そのような浮いた話もなく、王子様を尊ぶ訳でもなく、多種族のものと何も遜色ない会話をしていた。


プリエは、「最近、みんなの様子がおかしかったの。だから、私が力になるからみんな言って欲しい。」というと、亜人たちは、「移民がどっか行っちゃってる。」とか、「他の人たちが態度が冷たいの。」と言ってきた。


そういった状況の陰には、貴族の糞のような貴族に親しい者たちの下賤な態度によるもので、そんなことを全く知らない純真なプリエは、「お父様に聞いてくるから待っててね。」とその話題を後にした。


もちろん、多種族を蔑ろにするなど彼女の許すことではない。


少女は、これから起こりくる貴族のイベント、生活を通して、国の陰謀の片鱗を知っていく。


これは、この国の闇を知った少女の革命の始まりに過ぎなかった。



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