IF5話 精霊魔法
休みの日。自室にて。オレは椅子に座って、プリシラはベッドに座る。
「では前に言った、精霊魔法について話すとするか」
「精霊魔法何て一言も言ってないだろ」
「そうは言うが。前に使い魔と精霊界の話はしただろ。使い魔召喚についてはあの教師が教えただろうし。後は精霊魔法しかない」
「本当にそれだけか? 他にもあるんじゃないか?」
「・・・主はそれを聞いてどうする? それを知って世界中に知れ渡らせる気か?」
「そんなのする気は無いぞ。それこそオレが狙われる」
「なら教えなくてもいいだろ。さて精霊魔法だが。見た目は魔法とそう変わらんな。一部を除いてだが」
「変わらないのか?」
「変わらないな。使っている魔力が精霊の魔力だから、精霊魔法だろ。ただ威力が桁違いだがな」
「そうなんだ・・・。で、何処まで威力が違うんだ?」
「例えば『ファイア』あるだろ。普通の人なら、人を燃やして黒焦げにするだろ。だが妾の場合は、すぐに燃えて灰すらも燃える」
「灰も燃える!? そこまでの威力の違いがあるのかよ!?」
「あるな。他には人には使えぬ魔法が使える。例えば木魔法や植物魔法だな」
「木魔法と植物魔法・・・。どっちも聞いた事無い」
「そうだろうな。人だけで使えるのはいないか少ないだろう。これらをやるには、全て精霊の力が必須になる。精霊によっては使える魔法は違うがな」
「プリシラから力を借りて魔法を使ったら、それが精霊魔法になるのか?」
「なる。早速試してみるか?」
「ここで試したら大変な事になるだろ」
「防音結界は既に張ってある。後は物が壊れないように、防御結界を張っておけばよかろう。壊れたら妾が直す」
プリシラは防御結界を張る。
「・・・なぁこの防御結界って、どんな風に張ってあるんだ?」
「今はこの部屋内全てに張ってある。周りではなく1つの物に密着してだ。妾が座っているベッドをよく見ろ」
オレはベッドを見ると、何かに包まれているのが分かる。
「確かに包まれている。何か魔法を当てても大丈夫か?」
「大丈夫だ」
オレは火魔法でファイアボールを出して、ベッドに向かって投げる。ファイアボールはベッドに当たったが、特に傷が無かったし燃え広がらなかった。
「主よ。妾がいる前で魔法を放つとは何事か?」
「ごめん」
「・・・・・・仕返しか? 添い寝に対しての仕返しか?」
「そんな事無いよ。ただ投げた場所がたまたまプリシラが、いたベッドだったんだよ」
「主よ。次は無いぞ。次は問答無用で襲いに行くぞ」
「次から気を付けるので襲わないでください・・・」
「そうしておけよ。まぁ妾が我慢出来なかったら、諦めろ」
「その時は思いっきり抵抗するか、二度と喋らないかだな」
「それより早速精霊魔法を使うか」
話をそらしたな。
「使い方は。主が使う魔力の代わりに、妾の魔力を使うか。一時的に新しい精霊の魔力にするかだな」
「それだけなのか? でもどうやってオレの魔力の代わりに、プリシラの魔力を使うんだ?」
「1つは密着してる時だな。別に密着している必要は無いが。2つ目は譲渡だな。だがこれはちと危なくてな、主の魔力がほぼ満タンな時にやると、魔力が増えすぎて血を吐くな」
「マジか。でも貰った魔力で魔法を使っても、それはただの魔法になると思うが」
「そんな事は無い。一時的に人の魔力と精霊の魔力が混じって、混じって出来たのが精霊の魔力になる」
「そんな事も出来るのか。でも少しプリシラの魔力を貰えば、出来る気がするが」
「それは無理だな。最低でも1割、妾の魔力を譲渡しないと、精霊の魔力にはならない。そして他にも危険がある」
「それは何だ?」
「それはだな・・・。酔うんだ」
「・・・酔う? お酒を飲んだみたいにか?」
「そうだ。人と精霊の魔力は違うからな。人と精霊の魔力が合わさっている時に、色々な事が起きてるからその時に酔う」
「それって必ず酔うのか?」
「まぁ個体差はあるだろう。と言っても。妾は聞いた話だから、試したことが無い」
「そうだよな・・・。とりあえず、安全な方法でやるか」
オレがそう言うとプリシラはこっちに来る。プリシラは左側に来て、オレの左肩に右手が置かれる。
「これで主の魔力の代わりに、妾の魔力が使われるようになった」
「何かやったのか? ただ左肩に手を置かれただけだが」
「もう切り替えているぞ」
「どうやって切り替えたんだ? 何かに繋がってるのか?」
「繋がっておるのは『死』だけだな。後は主に触れなければ、基本的には繋がらんな」
「死が繋がってる!? どう言う事だ! オレはそんな話聞いてないぞ!」
「使い魔召喚で聞いておるだろ。・・・む。その説明はされていないのか・・・。使い魔召喚をした時に、使い魔に名前を付けるだろ。名前が付いたら契約は成立する。その時に『死』と言うものが一方的に、主人と使い魔に繋がる。主人が死ねば使い魔も死ぬが、使い魔が死んでも主人は生きている」
「初めて聞いたぞその話。何でそんな大事な話をしてくれなかったんだ?」
「さぁな。召喚自体がまだ謎に包まれているかもな。因みに直に主人に触れている時は、魔力だけが繋がる。他のが繋がると色々問題があるからな」
「そうか。それでどうやって切り替えてるんだ?」
「線路があるだろ。その線路の道を切り替えてると思えばいい」
「あぁなるほど。それならすぐに分かるな。もう魔法を使っても?」
「いいぞ」
オレは右手にファイアボールを作って、それをベッドに投げつける。ファイアボールはベッドに当たると、大きな爆発が起きる。オレには傷は無い。プリシラが防いでくれたんだろう。ただ耳を塞がなかったから、耳がキーンとする。時間が経つを耳は元に戻る。
「・・・・・・威力がヤバすぎるだろ」
部屋の周りを見ると、黒焦げになっている。何かも物が壊れてないかを確認する。物は特に壊れて無かった。防御結界だけが黒焦げになったようだ。
「ふむ。これはちとと言うものではないな。かなり相性が良いな」
「相性? そんなのあるのか?」
「あるぞ。召喚する時に魔力を流すだろ。その流れた魔力を読み取って、それぞれその人間にあった使い魔が召喚される」
「それも初めて聞いたな。つまりオレとプリシラはかなり相性が良いと?」
「これをかなりで片付けていいのか・・・。とにかく。これで少しは精霊魔法は分かっただろ」
「少しはな。ありがとう」
「なに、主が学びたいと言ったんだ。これくらいは当然だ。だが今日はこれくらいだろ」
プリシラはオレから離れて、防御結界を解く。
1週間後。今はオレは誘拐されてます。