IF2話 記憶を持った転生者
「なぁプリシラ。何でお前は過去を見ることが出来るんだ? ゲームでは一切そんな事を言ってなかったぞ」
「げぇむでの妾はただの上位精霊としか、言ってないんだな」
「それしか言ってないな。相手の過去を見るなんて、聞いた事が無いぞ」
「それはげぇむ上での妾だからだろ。実際の妾は色々と違う所があるだろ」
「例えば何だ? オレは過去を見ることが出来る以外に、何か違いがあるかは知らないぞ」
「ふむ・・・。例えば、げぇむ上の妾は服装が違うとか」
「一緒だな」
「使う言葉が違う」
「それも一緒だな」
「主とのスキンシップがそんなに無い」
「そんな事は無い。ゲーム上では過度なスキンシップだったな。あれで15歳以上のゲームだとは思わなかったぞ・・・」
「ほう・・・。因みに何処までやった?」
「キスまでやっていたな。それ以外はラッキーハプニングか?」
「意外と生温いスキンシップ。それではいつまで経っても、恋人関係で終わるだろうに」
「いや最終的には結婚してるぞ。ってかオレの過去を見てるなら、ゲームの結末も知ってるだろ」
「そこまで興味が故、見てないな」
「あぁそうですか」
「それにしても結婚か・・・。どれ、結婚する前にまぐわってみるか?」
「まぐわう? って何だ?」
「今で言う、性行為だ」
「ブフッ!?」
オレは性行為って聞いて吹き出す。
「ばばばばばば馬鹿じゃないか!? いきなり何を言いだすんだ!」
「どうせ結婚するんだ。今ここでまぐわっても特に問題はないだろ」
そう言ってプリシラは立ち上がって、オレの所に来る。
「ほれ服を脱げ。早速まぐわうぞ」
「そんな事するか! お前はゲーム上と全然変わらないな! そこは変わっていてほしかったぜ!」
「げぇむ上の妾はどうかは知らんが。まぁ些事だな」
「些事で終わらせるな!! こ、これ以上やると。二度と口を聞きないぞ!」
「!?」
プリシラはピタリと止まる。そのままベッドに戻って座る。
「二度と口が聴けなくなるのは困る。あまりに寂しさで、妾は死んでしまうぞ」
「その程度で死ぬのか? それよりさっきのやりとりが外まで、聞こえてるんじゃないだろうな? 聞こえていたら、オレは学園生活に問題が出るが」
「安心しろ主よ。妾がこの部屋に入った時点で、常に防音結界を張ってある」
「入った時点で張ってあるのかよ・・・。凄いな」
「妾は上級精霊だからな。他の聞きたい事はあるか? 何でも答えるぞ。例えば胸の大きさとか」
「それはいい。オレが聴きたいのは。オレが本当に、記憶を持った転生者なのかを聞きたいんだ」
「そんな事か。主は間違えなく記憶を持った転生者だ。そもそも今ここに生きている者たちは、皆誰かの転生者だ。だか違うのは前世の記憶を持っているか、持っていないかだ。主は前世の記憶を持っている転生者。稀の中の稀だな」
「皆誰かの転生者・・・。じゃあプリシラも?」
「そうなるな。だが妾は前世の記憶は持っていない。何故前世の記憶が無いか。前世の記憶は消されるからな。先ず生き物が死ねば魂になる。その魂は大体はたちの悪い神の所に行く。そのたちの悪い神の所で適当に次の転生を決めてから、前世の記憶を消して転生をする。主の場合は・・・、何かの手違いだろ」
「何か悪口を言っているが、気にしない方がいいのか?」
「些事だな」
「あっそう。それで記憶を消すって言うけど、何で魂に記憶がある? 普通は脳に保管されてる物じゃないのか?」
「肉体ではそうだろうな。だが魂にも記憶が保管される。魂にも保管する場所が、どこにあるかは分からん。何せたちの悪い神は教えてはくれんからな。肉体が本体では無く、魂が本体と言うべきだろ。魂さえ無事なら、どんな肉体にも入る事が出来る。例えば、主が使っている肉体でもな」
オレはそれを聞いた瞬間。背筋が寒くなった。
「だが条件もある。それは肉体に入る魂は1つしか入れない。2つ目の魂が入れば、肉体はすぐに崩壊するだろ。何故なら脳に行く記憶の処理が、追いつかないからだ。それ以外にも思考や身体の動きもバラバラになるだろう。その状態でまともに生活が送れると思うか?」
「無理だな。まとも生活なんて出来ない」
「そうだろ。話しはそれたが。主は記憶を持って転生者である」
「オレが記憶を持った転生者なのは分かったが。オレは途中まで【ラザ】だったぞ。何で急に【江崎洋治】の記憶が出て来た?」
「それは妾も分からんよ。考えられるとすれば。完全に記憶を消す事に失敗して、途中でエサキヨウジの記憶が出て来たのでは? 因みに聞くが。ラザの記憶はあるか?」
「ほぼ一部しかない」
「エサキヨウジの記憶が出てきた事によって、ラザの記憶は何処かに引っ込んでしまったか。まぁそのうち思い出すだろう」
「凄い雑だな・・・。確かにそのうち思い出すかもしれないけど。でもラザの身体を乗っ取った訳じゃないから、良かったと言うべきか。ところで何で過去を見ることが出来るんだ?」
「それはだな。・・・いや違う日の語ろう」
「今じゃ無いのか。別にいいけど。ところで、何でそんなこと知ってるんだ?」
「たちの悪い神から教わった。ただそれだけだ」
「神から教わるとか・・・。プリシラって本当に上位精霊? 絶対に嘘だろ」
「それもいつか話そう」